最近、日本では、フリーWi-Fiが使える場所が増えてきましたよね。スマートフォンやタブレットを利用する人が増えているなか、Wi-Fiスポットは欠かせないものになってきています。
ところで、海外諸国においては、フリーWi-Fiはどの程度整備されているのでしょうか。観光やビジネスで海外を訪れることの多い人は、どうやってインターネットにつながるか、Wi-Fiルータのレンタル利用を検討するべきか、考えるところかと思います。そこで今回は、海外のフリーWi-Fi事情について、日本と比較しながら見ていきましょう。
日本のフリーWi-Fi事情は?
日本は世界から見ると、残念ながらフリーWi-Fi環境の整備が遅れていると認知されているようです。平成28年度に実施された、外国人旅行者に対するアンケート調査結果によると、旅行中困ったことの第2位として「無料公衆無線LAN環境」が挙げられており、28.7%でした。
日本においては、街中のフリーWi-Fi利用率が高くないようです。平成26年度(2014年度)版情報通信白書における「公共・観光施設におけるプライベートでの無料公衆無線LANの利用状況」によると、フリーWi-Fiを「ほぼ使う」「よく使う」「たまに使う」「使わないが、過去に使ったことがある」と回答した人の合計割合は、アメリカ約50%、シンガポール約80%だったのに対し、日本はわずか30%でした。
このことには2つの理由が考えられます。
1つ目は、日本のスマートフォン利用者のほとんどが、携帯電話会社とキャリア契約していることです。キャリア契約により、パケット通信が、使い放題で快適に利用できるので、公衆のフリーWi-Fiを使う機会が少なくなっていると考えられます。一方、海外では、プリペイド携帯の利用が多いことで、パケット通信量が少なかったり、高額になったりするため、フリーWi-Fiの利用度合いが高くなっていることがあげられます。
2つ目の理由は、日本人のセキュリティ意識が高い傾向にあることです。株式会社シマンテックが2017年、世界15か国各1,000人を対象に実施した調査「ノートンWi-Fiリスクレポート」によると、フリーWi-Fiについては、世界の国々において約6割が安全だと認識していたということです。たとえば、インドでは74%、アメリカでは69%、フランスでは69%が「安全である」と回答しています。これに対して日本は、「安全である」と回答した人は39%と、15か国中世界最少でした。
他にも理由は考えられますが、大きな理由としては、上記2つがあげられるでしょう。
国別比較、フリーWi-Fi普及事情
具体的に、各国においてフリーWi-Fiはどの程度普及しているのでしょうか。以下で、特徴的な例を3つご紹介しましょう。
【アメリカ】
アメリカでは、「どこの施設でもWi-Fiに無料で接続できる」と言っても過言ではないくらい、Wi-Fi環境が整備されています。飲食店やショッピングセンターはもちろん、公共機関や交通機関などでの利用可能です。たとえば、図書館については、地区ごとの小さな規模の図書館でも、フリーWi-Fiが利用可能ですし、ニューヨークのBryan Parkをはじめとした公園でも、無料でWi-Fiにつなげられます。また、公共交通機関については、長距離バスのMegabus、高速鉄道のAceraなどで無料Wi-Fiサービスが整備されています。
これらのフリーWi-Fiのほとんどは、メールアドレスの登録などは不要です。なかには、パスワードの入力が不要のものもあります。フリーWi-Fiが広く浸透していることが見て取れますよね。さすが、IT大国だと言えます。
【シンガポール】
シンガポールでは、政府が提供している「[email protected]」というフリーWi-Fiサービスが利用できます。空港や主要ショッピングモール、観光地で接続可能です。アジアをはじめ、さまざまな国から観光客やビジネス客が訪れる国ですから、国を挙げてフリーWi-Fi環境を整備するのもうなずけます。
ただし、[email protected]は少々使いにくいのが難点。まず、使用するには、[email protected]と提携しているシンガポールにおける指定キャリアに申請する必要があります。また、スマートフォンやタブレット、PCの機種によっては、[email protected]が利用できないことがあるため、注意が必要です。さらに、利用登録の際には、シンガポール国内の電話番号やパスポート番号を記載する必要もあります。また、通信速度も場所によっては大きく落ちてしまうと言われています。
【ドイツ】
ドイツにおいては、あまりフリーWi-Fiが浸透していないのが現状です。フリーWi-Fiスポットの絶対数が少ないだけでなく、利用するために事前登録が必要だったり、場合によってはドイツのSIMカードが必要だったりする場合もあります。
ドイツにおいてフリーWi-Fiが浸透していない理由には、ドイツにおける通信セキュリティの厳しさが挙げられるでしょう。ドイツでは、Wi-Fiスポットを利用したユーザーが違法行為をした場合、フリーWi-Fiサービスを提供している店舗や企業が責任を負うことが法律で決まっています。少し不便かもしれませんが、不特定多数の利用するフリーWi-Fiには、個人情報や機密情報を、悪意を持って読み取られる危険性もあります。そうした状況を考えると、ドイツのような法整備も必要なのかもしれません。
ドイツでインターネットを利用する場合には、街中のフリーWi-Fiを頼るよりも、Wi-Fiルータレンタルサービスを利用したほうがよさそうです。
海外のフリーWi-Fi普及度には差がある!安全性の検証も必要
上述のように、普及度合いには国や地域によって差があります。「街中のフリーWi-Fiをあてにしていたのに、肝心なところでつながらない!」といったことも考えられます。
また、不特定多数の人が利用するフリーWi-Fiは、接続者数が多ければスピードが落ちてストレスに感じることもありえます。
更に重要な点は、セキュリティ対策が十分なされていないものも多いという現状です。場合によっては、個人情報や仕事上の機密情報などを、悪意を持って盗み見されてしまう危険性もあります。安全性を確保するなら、Wi-Fiルータレンタルサービスといった手段を利用したほうがいいでしょう。
おわりに
今回は、世界のフリーWi-Fi事情について、日本の状況と比較しながら見てきました。アメリカのように、街中どこでもフリーWi-Fiにつなぎ放題の国もあれば、ドイツのように、セキュリティ上の理由でなかなかフリーWi-Fi環境整備が整っていない国まであるのは興味深いところです。便利なフリーWi-Fiですが、そもそもスポットから移動すれば使えません。安定性や安全性では、モバイルWi-Fiルータレンタルサービスのほうが勝っています。両者を上手に活用して、どんな旅をするのかを考えて、海外でも快適なインターネットライフを過ごしたいですね。
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