業務のペーパーレス化に取り組むなら、契約書のデジタル化にも着手したいところ。現在では、国内でも多様な電子契約サービスを利用できるようになっています。
今回は、電子契約導入のメリットや注意点を踏まえながら、主要な7つのサービスを紹介していきましょう。
電子契約の利用率は約43%!働き方改革やコロナ対応で普及が促進
電子契約の普及は進んでおり、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の報告書によると、2018年における電子契約の利用率は約43%にも上っています。
業務効率化からコンプライアンス強化まで!電子契約を導入するメリット
電子契約導入のメリットは、主に3つ挙げられます。
電子契約によって削減できるコストの代表電子契約普及の背景には、法的・技術的環境が整ってきたことがあります。2000年代から電子帳簿保存法や電子署名法、e-文書法などの法律が少しずつ整備されるとともに、電子署名や電子証明書、タイムスタンプといった電子契約の基盤となる技術の規格化が進みました。
さらに、2016年以降は働き方改革の観点から、業務効率化や柔軟な働き方を可能にするペーパーレス化の取り組みのひとつとして、電子契約が取り上げられるようになりました。また、直近では新型コロナウイルス感染症流行の影響で、印鑑廃止の動きも拡大。テレワークに対応した業務プロセスが求められる中、場所を問わずに利用できる電子契約のニーズがいっそう高まっていきそうです。
例が、印紙代です。書面の契約書の場合、契約金額によっては1通当たり数万円の印紙税が掛かる場合もありますが、電子契約の場合は、印紙が不要であると公的に解釈されています(印紙税法第2条、小泉純一郎元首相の国会答弁など)。特に、契約書数の多い建設業や通信業などで大きな導入メリットを実感できそうですよね。
さらに、郵送代や封筒代、インク代などが削減できる点も見逃せません。そのほか、契約書を印刷・封入・郵送する従業員の実質的な人件費や、契約書類の保管スペースを確保するコストも削減できます。
紙の契約書で契約を取り交わすと、契約書の作成と印刷、封入、郵送といった一連の流れに数日~数週間といった時間が掛かります。書面に誤字脱字が見つかればそのたびに印刷をし直さなければなりませんし、往復の郵送だけでも甚大なタイムロスが生じますよね。また、保管している書類を探す手間も掛かります。
これに対して、電子契約では、契約書の草案作成から相手との内容確認、契約書の作成、契約締結までをすべてデジタル化し、オンラインで完結させることが可能。電子契約サービスを提供するDocuSignは、電子契約の導入によって契約成立までの時間を80%も削減できると主張しています。また、契約締結後も、書類をデータベースからスムーズに検索することが可能です。
さらに、電子契約サービスの中には、申請や稟議といった書類の回付をデジタル化するワークフロー機能が搭載されているものもあり、社内における契約書の承認スピードもアップできます。
契約書をオフィスのキャビネットや倉庫で保管していると、改ざんや保管漏れ、盗難、紛失などのリスクが生じます。
しかし、電子契約を導入すれば、これらのリスクを未然に防ぎ、コンプライアンスを強化することが可能。電子署名やタイムスタンプの仕組みで改ざんを防止できるとともに、データベースへ自動保存された契約書のバックアップを取ることも容易です。また、契約書業務の進捗や履歴が見える化されるため、契約の締結・更新漏れも防ぐことができます。
契約関連業務の透明性が確保されていることは、内部監査の際にも重要なチェックポイントになりそうです。
契約書によってはデジタル化できないケースも。電子契約導入時の注意点
多くのメリットがある電子契約ですが、場合によっては活用が難しいこともあります。導入検討時には、特に次の点に注意が必要です。
紙媒体での取り扱いが義務付けられている契約書がある
ほとんどの契約書はデジタル化が可能ですが、一部、紙媒体の契約書による締結・交付・保管が法的に義務付けられているものがあります。一例ですが、以下の契約書は書面での取り扱いが必要です。
・定期借地契約
・定期建物賃貸借契約
・投資信託契約の約款
・訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引
における書面交付
電子契約化しようとしている契約書がこれらに該当しないか、十分に確認しておきましょう。
契約相手の理解が必要になる
契約は双方の合意によって成り立つことから、電子契約の導入について契約相手の理解を得る必要があります。自社だけでなく、相手方にもメリットがあることを説明するのが重要だといえるでしょう。
社内の業務フローが変化する
電子契約の導入により、社内の業務フローが変化する可能性があるため、契約業務に関わる部署・メンバーに新しいプロセスを説明し、理解を得ることが大切です。
主要な電子契約サービス7選!それぞれの機能や特徴をチェックしよう
電子契約サービスは多様化しており、各サービスにはさまざまな特徴・強みがあります。ここでは主なサービス7つの特徴を紹介していきましょう。
★サービススクリーンショット+URL(以下、他のサービスでも同様)
世界50万社以上、数億人のユーザーに利用されているアメリカ発のサービス。44言語で署名、13言語で契約送信できるのは、グローバルなサービスならではの強みだといえます。
企業向けプランは、ユーザーあたり月額25ドル~。
日本の法律に特化したクラウドサービスで、国内における電子契約利用企業の約80%がクラウドサインを利用しているというデータも公表されています。関連サービスも充実しており、契約締結と同時にクレジットカード決済ができる「クラウドサイン PAYMENT」などが特徴的です。
利用ユーザー数や送信件数無制限のプランは月10,000円~。
約4,000社の機密書類の管理実績を持つ情報資産管理企業が提供しているサービスです。「GMO電子印鑑Agree」をベースにしており、例えば「自社は電子証明書、相手方はメール認証」のように、締結の認証レベルを柔軟に変えることが可能です。
契約締結・送信件数無制限の有料プランは100円/件~。
業界最高峰の法的安全性を掲げるサービスで、金融機関レベルの厳重な本人確認を行っています。また、契約を電子記録債権化できるため、締結した契約を金融機関の担保として、資金調達に活用することも可能です。
有料プランから電子債権化が可能になり、料金は月10,000円~。
40万社以上の導入実績を持つ「BtoBプラットフォーム」で展開されているサービス。契約相手がすでに同プラットフォームを利用していれば、導入がスムーズになりそうです。また、ワークフロー機能も3ユーザーまでは追加料金なしで利用できます。
有料プランは10,000円/月~。
契約書の作成や修正履歴の管理にGoogleアプリケーションを利用しているサービス。ワークフロー機能のほか、オンボーディング、ハンズオンといった導入サポートも充実しています。
契約書送信数やテンプレート登録数が無制限のLightプランはアカウント当たり4,980/月。要見積のProプランでは、1契約締結ごとに100円が基本料金から減額されます。
2020年4月にリリースされたWEB会議・オンライン商談システム。同システム内の機能として名刺交換ができ、電子契約書の作成・契約締結できるのが最大の特徴です。営業活動から商談、受注までの業務をワンストップで業務効率化できます。
料金については要問合せ。
おわりに
業務効率化や多様な働き方へのニーズの高まりから、普及が拡大している電子契約。今後は、自社から電子契約を提案する前に、先方から契約のデジタル化を求められるケースも出てくるかもしれません。
さまざまな機能が搭載され、安全性も確保されたサービスを多数の選択肢から選べるようになっている中、自社の利用シーンに即した電子契約ツールを見極めたいですね。
JIPDEC IT-Report 2018
ハンコ、名刺不要に コロナで戦後初ビジネス転換期到来(産経新聞) – Yahoo!ニュースゼロから学べる電子契約の
基礎—電子契約の導入メリットと注意点 – サインのリ・デザイン
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