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201906.24

Chatwork、Slack……ビジネスチャットの導入で期待できるメリット、注意すべきデメリットとは

仕事でのコミュニケーションツールとして、ChatworkやSlackなどのビジネスチャットを使う企業をよく目にするようになりましたよね。その利用が業務の効率化につながるとして、昨今では政府も、「働き方改革」の観点からビジネスチャットに注目しています。

今回は、ビジネスチャットの導入によって期待できるメリットや、利用の際に注意すべきデメリットを中心に解説していきましょう。

【国内の現状】ビジネスチャットの普及率は3割以上。ツールも多様に

国内企業におけるビジネスチャットの普及は進んでおり、サイバーソリューションズ株式会社が2018年12月に実施した「メールとビジネスチャットツールの利用実態調査」によると、33%の企業がビジネスチャットを導入・利用しています。

同調査は従業員数200人以上の企業を対象に行われているので、より規模の小さなベンチャー企業なども含めれば、さらに多くの企業が利用している可能性があります。

また、ビジネスチャットツールの多様化も目立ってきました。

-2019年現在で導入企業が22万社を超えるChatwork
-日間アクティブユーザー数 が1,000万人を突破したSlack
-ビジネス版LINEのLINE WORKS
-ビジネス版FacebookであるWorkplace
-Officeアプリケーションとの連携にすぐれたMicrosoft Teams

などが注目されています。企業は多くの選択肢の中から自社のニーズに合ったツールを選べるようになっているといえるでしょう。

【導入のメリット】コミュニケーション・情報共有を円滑化。セキュリティレベルの高さも強み

ビジネスチャットを導入する主なメリットには、次のようなものがあります。

●コミュニケーションの円滑化・活性化
より簡潔にコミュニケーションをとれ、リアルタイムでのやり取りが可能になります。
調査によると、メールを1通書くのにかかる時間は平均で5分27秒、仕事で1日に送信するメールの平均は11.59 通で、なんと1日に約63分をメールに費やしている計算になるとのこと(一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2019」)。

ビジネスチャットの利用により、メールに必要な件名やアドレスの記載、「お世話になっております」「よろしくお願いいたします」など本文の定型文を省略できるだけでも、ずいぶん時間を短縮できそうですよね。
チーム内でちょっとした相談をしたり、気軽にアイディアを共有したりもでき、コミュニケーション活性化の効果も期待できます。

また、目的ごとにグループを作成し、複数人と同時にコミュニケーションをとれるのもビジネスチャットの強みです。伝達漏れを防いだり、直接宛先になっていない人も必要に応じて他のメンバーへのメッセージを参照できたりします。

さらに、メールでやりがちなミスを防ぎやすいのもビジネスチャットの特徴です。ビジネスチャットでは送信済みのメッセージを編集・削除でき、誤字・脱字や情報の不足を補ったり、誤送信されたメッセージを取り消したりできます。

●ファイルなど情報共有の効率化
グループに所属する複数のメンバーに、ドキュメントや動画、画像などのファイルを同時に共有できます。ファイル容量も、ChatworkやSlack(フリープラン)では最大5GBと、メール添付では送りづらいデータも共有可能です。

また、添付ファイルもテキストメッセージと同様、タイムライン形式で表示されるため、添付漏れも防止できます。

●付帯機能や連携機能による業務効率化
ツールによっては、タスク管理ができたり、音声・ビデオ通話でオンライン会議ができたりするビジネスチャットもあります。
また、一部のツールは他の業務システムやアプリケーションなどと連携でき、いっそうの業務効率化を図ることも可能です。

●セキュリティの確保
ChatworkやSlackは情報セキュリティの国際規格ISO27001やISO27018などを取得しており、大手金融機関やセキュリティ企業と同レベルのセキュリティを確保しています。

先述したサイバーソリューションズの調査では、社員がコンシューマー向けのチャットツールなどを無断で業務に利用する「シャドーIT」が、半数以上の企業で行われていることが判明。安全で利便性の高いビジネスチャットを企業が公式に導入すれば、シャドーITによる情報漏洩リスクも防げるでしょう。

【導入のデメリット】情報の散乱に注意。既読機能・在席ステータス表示機能の弊害も

一方で、ビジネスチャットには次のようなデメリットもあります。

●情報が散乱しやすい
タイムライン形式でコミュニケーションが進むため、過去の情報がどんどん流れていってしまい、たどりづらくなります。
また、会話ベースでやり取りするため、要点が分散しやすいのも難点。「打ち合わせをセッティングしていたら、集合場所と日時とアジェンダのメッセージがそれぞれバラバラ」などということにもなりがちです。

さらに、グループが適切に設定されていなければ、どのグループで何を話したかも把握しきれなくなります。検索機能も使えますが、その都度必要な情報を検索するのは大変です。
そのため、エビデンスになるやり取りの履歴や要点など、重要な情報は必要に応じて別途まとめておく必要があるでしょう。

●雑談のしすぎに注意が必要
気軽に発言できる分、業務に関係のない投稿が増えすぎてしまう可能性があります。雑談が増えて業務に支障が出たら本末転倒ですよね。

●通知や既読機能に気が散って業務に集中できなくなる
ビジネスチャットの通知機能や既読機能、在席ステータス表示機能は、迅速なコミュニケーションには便利ですが、「早く返信しなければ」という切迫感で、業務に集中できなくなる可能性があります。円滑なコミュニケーションを妨げない程度に、機能のオン/オフをカスタマイズすることが大切になるでしょう。

●対面・電話によるコミュニケーションが不足する
効率性を重視するあまり、ビジネスチャットにばかり頼っていると、対面や電話でのコミュニケーションがおろそかになる恐れがあります。
ビジネスチャットは従来のメールより口頭での会話に近い感覚で使えるため、ますますこれらの機会が減る可能性もあるでしょう。
細かいニュアンスを伝えたいときには、これまで以上に意識して対面・電話でのコミュニケーションをとったほうがよいかもしれませんね。

【事例】ビジネスチャット導入で、業務時間を1人あたり1日1時間以上短縮!グループ作成にも一工夫

ビジネスチャットを導入した企業の中には、大幅な業務効率化を実現した例もあります。そのひとつが、インターネット広告事業などを手掛ける株式会社サイバーエージェントです。

ビジネスチャット導入前はクライアントへの提案にメールを使用しており、やり取り回数の多さやコミュニケーションスピードの遅さに課題を感じていたそうです。

業務効率化のため、2015年にChatworkを導入。トップダウンで全社的に利用を推進し、業務プロセスもChatworkの利用を前提としたものに変更して、2カ月で全社の使用率100%を達成しています。

その結果、社員1人につき平均で1日1.26時間の業務時間が削減され、事業本部全体では1カ月あたり約25,000時間以上もの効率化を実現したとのことです。

運用の工夫としては、クライアント単位でのグループ作成を徹底。それ以外では、必要に応じてプロジェクト単位でより細分化されたグループを作るなど、社員が比較的自由に運用しているといいます。

コミュニケーションに使っていた時間が1時間以上も短縮できれば、業務の質を向上させたり、別の仕事に時間を割いたりできそうですよね。

また、グループ作成のルールをうまく決めておけば、情報の散乱などのデメリットも補えそうです。

おわりに

個々の社員がコミュニケーションのストレスから解放されること、業務効率化を図れることなどが期待できるビジネスチャットの導入。

デメリットを補いながらメリットを享受できるような運用方法を考えることが成功のポイントになるでしょう。運用方法を検討する過程で、業務プロセスや組織の在り方も見直すことになれば、経営的にも意義のあるツールになるかもしれませんね。

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