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201903.25

スマートスピーカーはなぜ今流行するのか? 国内の普及状況やビジネスでの活用事例も解説

「Amazon Echo」の登場以降、世界中で注目を集めているスマートスピーカー。

アメリカのあるメディアが発表した調査結果によると、同国の成人におけるスマートスピーカーの普及率は26.2%にも上るとされています(「U.S. Smart Speaker Consumer Adoption Report 2019」)。急速に拡大するスマートスピーカー市場とともに、ビジネスチャンスも広がりそうですよね。

今回の記事では、ビジネスの観点からスマートスピーカーを解説します。流行の背景や普及の現状、ビジネスにおける活用事例などを見ていきましょう。

スマートスピーカー発展の核はAIの進化。IoT化の進展も背景に

スマートスピーカーの歴史は、それほど長くありません。

冒頭にあるアマゾン「Amazon Echo」の登場は2014年。その2年後の2016年にはグーグルが「Google Home」を発売しました。さらに2018年にはアップルによる「HomePod」がリリースされています。日本国内でも、LINEが2017年に「Clova WAVE」を発売しました。わずか5年程度で、国内外の主要IT企業が次々とスマートスピーカー市場に参入していることがわかります。

スマートスピーカーが台頭してきた要因のひとつが、AIの進化による音声認識レベルの向上です。特にスマートフォン関連企業は、スマートフォンに搭載した音声アシスタントを通じてデータを収集し、AIに対話のパターンを学習させて、その性能を向上させてきました。

さらに、IoT化が進展してきていることも、スマートスピーカー市場が盛り上がりを見せる背景にあります。現在、多くのIoT製品は、スマートフォンアプリなどを通じて操作するものが一般的ですが、いずれは音声アシスタントが搭載された製品も出てくると見られています。

とはいえ、直接家電や照明に話しかけるのには、まだ若干抵抗を感じるところもありますよね。そこで、IT企業各社は、まずはスマートスピーカーを通じて、ユーザーに「音声アシスタントで家電や照明の操作をする」という体験を提供。そして、その過程で収集したデータからAI技術をさらに進化させて、来るべき次の時代に備えているという側面もあるのです。

スマートスピーカー市場の動向は、近い将来、IT業界でどの企業が主導権を握るかを左右しているといえるかもしれません。

スマートスピーカー主要3製品の特徴は?連携サービスや拡張性に注目

現在、国内で流通している主なスマートスピーカーにはそれぞれどのような違いがあるのか、特徴をチェックしてみましょう。

●Amazon Echo
対応AIアシスタントは「Alexa」。Amazonの各サービスと連携しており、特に「Amazon Prime Music」や「Amazon Music Unlimited」などの音楽サービスを利用しやすい点に強みがあります。もちろん、商品の注文も可能です(プライム対象商品のみ、一部非対応)。

また、拡張性が高く、2018年12月4日現在で日本国内のAmazon Alexaスキル数は2,000を超えています。

●Google Home
対応AIアシスタントは「Google アシスタント」。スマートフォンとの連携に強く、例えば「Google Home」で調べた経路や翻訳内容などの情報を、スマートフォンに送信することが可能です。

また、グーグルが提供するさまざまなサービスと連携しており、Google検索やGoogleマップ、Googleカレンダーを音声で操作できます。

●LINE Clova
対応AIアシスタントは「Clova」。LINEサービスと連携しており、音声でLINEメッセージの送受信が可能です。また、「Clova WAVE」では赤外線リモコン機能が標準装備されているのが特徴。スマートスピーカー対応機器でなくても、音声でテレビのチャンネルを切り替えたり、赤外線対応の照明を操作したりできます。

連携サービスや拡張機能、端末の特徴などが、スマートスピーカーを選ぶポイントになりそうですよね。

日本におけるスマートスピーカーの現状~所有率は約6%、機能の拡張が普及のカギに

話題となっているスマートスピーカーですが、日本国内での普及率は、まだそれほど高くないのが現状です。

2018年12月に行われた調査によると、国内におけるスマートスピーカーの認知率は約76%に上るものの、普及率はわずか約6%にとどまっています(「スマートスピーカー利用実態調査」)。同調査で、現時点で所有していない理由を尋ねたところ、「スマートスピーカー(AIスピーカー)を使ってまで利用したいことがないから」「どんなことができるのかよく分からなく、自分が使うことをイメージできないから」「スマートフォンやPC・タブレットがあれば十分だから」がそれぞれ30%以上で上位になりました。

サードパーティのアプリ/スキルの充実を含めたさらなる機能の拡張や、スマートスピーカーならではの体験を訴求することが普及のカギになりそうです。

スマートスピーカーで広がるビジネスの可能性。独自のアプリ/スキルを活用した3つの先進事例


スマートスピーカーの認知度が高まる中で、ビジネスでスマートスピーカーを活用するケースも見られるようになってきました。その多くは、前項でも言及したサードパーティのアプリ/スキルを開発・提供するものです。多様なアプリ/スキルが利用できれば、ユーザーのスマートスピーカー体験が向上し、普及率の上昇につながる可能性もあります。

また、スマートスピーカーをビジネスに活用することで、企業側もメリットを得られます。ユーザーの質問や問いかけのデータを、毎日リアルタイムで大量に収集できれば、商品・サービスの開発や改善、マーケティングなどに役立てられるでしょう。

以下では、スマートスピーカーを通じて新たなビジネスを展開している事例を3つご紹介します。

●【エスティ ローダー】美容アドバイスの提供と店舗への集客
化粧品・スキンケア商品メーカーのエスティ ローダーが手掛ける「Google Home」対応アプリは、ユーザーがスキンケアに関する質問をすると、パーソナライズ化された回答をするというもの。

回答を得たあとは近隣のエスティ ローダー店舗が提示され、その店舗で一部の商品を無料体験したりもできます。ユーザーにとってお得で、店舗にとっても集客上のメリットがあるアプリになっていますよね。

●【出前館】決済サービスと連携して注文の利便性を向上
大規模デリバリーサイトの出前館では、スクリーン付きのスマートスピーカーである「Echo Spot」や「Echo Show」対応のスキルを展開。

スマートスピーカーに話しかけると、ユーザーごとにカスタマイズされた出前館の画面が表示され、音声だけで注文ができます。支払いは「Amazon Pay」でオンライン決済が可能です。デリバリーが届いたときに現金を用意する手間が省けるのはとてもスマートですよね。

●【&AND HOSTEL】店舗や宿泊施設でのコンシェルジュとして活用
IoT体験をコンセプトとした宿泊施設の&AND HOSTELでは、一部の店舗で「Google Home」を設置したルームを提供。「共用シャワーは空いている?」「チェックアウトは何時まで?」といった宿泊客の質問に答えるコンシェルジュの役割を果たしています。

スマートスピーカーに話しかけることで、照明やカーテン、アロマディフューザーなどを作動させシーンごとに快適な環境をつくることも可能。宿泊客の利便性を向上させるだけでなく、施設スタッフの業務負担も軽減しているのがポイントです。

おわりに

スマートスピーカーは、ユーザーの生活を便利にするだけでなく、ビジネスの可能性も大きく広げています。IoTやオンライン決済など他の技術と組み合わせて、まったく新しいビジネスが生まれれば、国内のスマートスピーカー普及率も上昇するかもしれません。

スマートスピーカーを提供する主要各社の動向や、先進的な活用事例に、今後も注目していきたいところです。

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