ビジョンは、提供する全てのサービスにおいて、お客様のコンシェルジュを担当するコールセンターを運営しており、そこで集めた声や要望を吸い上げてサービスに反映させる取り組みをおこなっているそう。
2017年11月には、これらの取り組みや実績が評価され、一般社団法人CRM協議会が主催する「2017 CRMベストプラクティス賞」と「継続賞」を受賞しています。
そこで今回は、ビジョンがなぜ「CRMベストプラクティス賞」を継続的に受賞できているのか、契約後のアフターフォロー専属のカスタマーセンターで責任者を務めるビジョンCLT(Customer Loyalty Team)の石川部長に、その理由を伺ってきました。
カスタマーセンターによるアフターフォローが、お客様のニーズに合致した
―そもそも通信機器の営業会社でコールセンターを持つこと自体が珍しいと思うのですが、なぜ開設しようと考えられたのでしょうか?
もともと通信業界には、お客様に商品を売ったら役割はそこで終わりという風潮がありました。しかし、それではお客様が離れてしまう。そこで、カスタマーセンターを立ち上げてお客様とつながっていこうと考えたのがひとつです。
もうひとつは、営業担当者は1日中社外を飛び回っていることが多いため、お客様とのやりとりは個人の携帯電話で行うか、帰社してから折り返していました。しかし、どうしてもレスポンスが遅くなったり、折り返すのを忘れてしまったりということもありました。そこで、お客様とのやりとりを専業で行う部署を立ち上げた方がいいということになったんです。
たしかに、営業マンも営業に集中することができるということもあり、会社としても効率のいい仕組み作りですね。
試験的に電話による契約後のアフターフォローを行ってみたところ、新たな商機を獲得できたことから、本格的にカスタマーセンターを設立することになったそう。本格的に始めてからの感触はどうだったのでしょうか?
アフターフォローのカスタマーセンターを始めてから気づいたのは、営業電話は嫌われる傾向があるのに対し、「アフターフォロー専属のコールセンターです」ということを冒頭にお伝えすることで、ほとんどのお客様が話を聞いてくれるようになったことです。
タイミングよく電話をかけると、「ちょうど携帯電話の電池が減りやすくなってきたところだったから、機種変更したい」「他のサービス導入を追加検討しているんだけど」という声をもらい、カスタマーセンター開設から1カ月で早くも70万円くらいの追加依頼をいただいたんです。
お客様には、営業電話にはうんざりしているけれど、一方で必要な情報はほしいという潜在ニーズがあるんですね。
今ではグローバルWiFiなど、当社が展開するサービスのフォローもすべてCLTに集約。追加依頼からの売上も大幅に拡大しているそう。コストセンターと見なされがちなカスタマーセンターで、目覚ましい成果ですね。
受賞は、あくまでもお客様の声に応えていった結果
―「CRMベストプラクティス賞」を6年連続で受賞されていますが、どのような取り組みが評価されてのことなのでしょうか?
カスタマーセンターには、お客様の声が自然に集まります。お客様の声は、事業を行っていく上でさまざまな判断材料になる。私たちは、純粋にその声に応えていっただけです。サービス提供者である以上は、お客様の声にどれだけ応えられるかがもっとも重要なんです。
カスタマーセンターに寄せられる声に真摯に応えていった結果が「CRMベストプラクティス賞」の受賞につながっているのだ、と石川さん。
寄せられる声がスピード感をもってサービスに反映されていくのは、経営トップもその声を重要視しているから。グローバルWiFiに関しては、週1回のペースで定例会議が設けられ、新たなサービス案や改善案について決議が取られているのだそうです。
通信業界の移り変わりはとても激しい。そこで戦っていくためには、お客様の望んでいることを知らなければなりません。そのために、カスタマーセンターは必要不可欠だと考えています。
カスタマーセンター成功の秘訣は、その役割に徹すること
―カスタマーセンターがここまでサービスの発展や売上に貢献できているというのは、すごいことですよね。何か秘訣はあるのでしょうか?
カスタマーセンターは、売上に貢献していますが、あえて売上を追わないということも大切なんです。カスタマーセンターの立ち位置は、あくまでもお客様のコンシェルジュであって、営業部のサポート。売上を追ってしまえば、その関係性を壊してしまうことになりかねません。
かといって、目標がないわけではなく、積極的に提案はしていくとのこと。売り込むのではなく、あくまでお客様の視点に立って提案する姿勢は、全ての職種に共通して重要なことですね。
今では、カスタマーセンターに他社や海外からも多くの人が視察に来られるそう。石川さんも、「実際の現場を見たい場合は、ぜひ佐賀にお越しください」と笑顔で話されていました。石川さん、お忙しい中ありがとうございました。