「次の休日どうしよう?」「何か楽しいことはないかな」と思ったことはありませんか?
もちろんショッピングも楽しいけれど、“コト消費”と言われはじめて久しいこの時代、日常では味わえないような心躍る体験をしたいと思われる方も多いことと思います。
そんな方におすすめしたいのが、日本最大級のレジャー・遊び・体験予約サイト「asoview!(アソビュー)」です。
アソビューは、コト消費と一般的に言われるようになるより前の2011年に立ち上がり、サービスを拡大。近年の日本の課題となっている地方創生についても、サービスの提供を通して積極的に取り組んでいます。
サービス拡大や、地方創生の取り組みの背景にはどのような考えがあるのか? どのように取り組んでいるのか? などについて、アソビュー株式会社 代表取締役社長の山野智久さんにお話をうかがいました。
「遊び」を集める情報サイト考案の背景
―まずは事業概要をお聞かせいただけますか?
当社では、大きく4つの事業を展開しています。
そのうち2つは消費者向けのサービスで、日本全国のアクティビティや体験型観光商品、体験教室、ツアーなどをインターネットから予約できる「asoview!(アソビュー)」と、遊びや体験をプレゼントできる「asoview!GIFT(アソビューギフト)」です。
また、自治体や中央省庁向けに観光事業のコンサルティングサービスを、レジャー施設さん向けに各種管理ツールの提供をおこなっています。
2011年に会社を設立し、最初のサービスとして「asoview!」がリリースされました。
学生で起業を一度経験し、新卒で3年間会社に勤めたあと、再び起業への挑戦を決めた山野さん。提供するサービスの内容はどのように考えていったのでしょうか。
世の中の流れが「コト消費」だからと考えたわけではないんです。
起業しようとしたときに、そもそもの前提として、企業は人を幸せにするものだという思いがありました。
人の幸せには2つの必要要素があります。一つは、必要なもの、欲しいものが手元にある状態。そしてもう一つは、心が豊かな状態です。
「心が豊かな状態」を実現するための課題解決をしようと考えました。
心が豊かな状態とは、自分が自由に使える時間をもっと楽しくすることだと思います。
そのためには何ができるのか。僕は休日や休暇の課題解決として、週末にどこへ行こう、旅行先で何をしようなどと時間の過ごし方を悩む人のために、ユニークな遊びを紹介し、予約も簡単にできるというサービスを提供しようと考えました。
あくまでも社会にある課題を解決しようとしたところたまたま時代のタイミングと合ったそう。先見の明といえそうです。
最初は誰も信用してくれなかった
―サービスを運営してこられるなかで、どのようなことに苦労されましたか?
「asoview!」のサービスは遊びの提供者がいなければ成り立ちませんが、事業の立ち上げ当初はこれまでにないサービスでまだサイトもなかったため、サービス内容を説明して信用してもらうことにとても苦労しました。
転機が起きたのは、観光協会にいた知人の紹介で、群馬県のみなかみ町にあるアクティビティの会社を訪れたときでした。
最初は、やはりサイトもないので信用できないとお断りされてしまったんです。地方の方であればなおさら、よそ者が訪ねてきていきなり契約してくださいと言われても信用できないのは当たり前です。
落胆して帰る道すがら、たまたま酒屋を見つけました。そこで僕は思い立ち、一升瓶を買ってアクティビティの会社さんに戻り、社長に「これを一緒に飲んで信用できると思ったら、一緒にやってほしい」と言ったんです。その瞬間もう笑いますよね、「何だ君は」と。
そこからもう一度話す時間をもらい、飲みながらお互いの身の上話や事業にかける思いを語り合いました。
山野さんの突拍子もない行動がきっかけで信頼を獲得し、結果的に社長がさまざまな知り合いに掛け合い「応援してやってくれ」とつないでくれたそうです。
そして群馬県みなかみ町をはじめ、約20施設が集まり、現在、掲載施設数は約6千、掲載商品数は約2万プランにまで拡大しました。
企業理念の浸透が、新たなサービスの開発へ
―現在従業員数は125名と、会社自体も拡大しました。ブログなどを拝見すると、従業員の方々には企業理念である「ワクワクを、すべての人に」がしっかりと浸透されている様子ですが、理念浸透のために取り組まれていることはありますか?
まずは、採用プロセスの中で企業理念を説明し、ご理解いただける方だけに選考へ進んでもらっています。
また、手がけている事業のすべてが企業理念を体現したものなので、企業理念を日々感じざるを得ない環境であることも浸透に寄与していると思います。
企業理念の文言自体も、言いたいことの芯はそのままに、各人が心に留めやすいようブラッシュアップしているそうです。
企業理念の浸透は、新たなサービスの開発にもつながっています。
「asoview!GIFT」はまさにそうで、その遊びが楽しければ誰かに勧めたくなるよねという発想から生まれました。
地方創生への取り組み
―自治体向けのコンサルティングサービスを通して、地方創生にも関わられています。それはなぜなのでしょうか?
企業理念を実現するためには、地方が元気でいなければならないと考えているからです。
都心部で生活をしていると、生活圏外である地方に癒しを求めたくなりませんか? つまり、都心部に人口が集中すればするほど、地方に癒しを提供するチャンスが生まれるということなんです。
しかし地方自治体は、観光地としての認知がない、認知はあれども人が来ない、人が来ても消費額が増えないという3つの課題に直面しています。そこで、観光に関わる地域のセクションとともにプロモーション施策の立案や観光商品づくりをおこなっているそう。
新潟県柏崎市で観光商品を地域の方と一緒につくる体験開発塾を開いた際には、地元に卸している酒屋さんとともに、地元に住む利き酒師の資格を持つおかみさんの語り部が楽しめる地酒の利き酒体験を考案しました。
その結果、観光客が訪れるようになり、観光収入が得られるようになったと喜ばれています。
さらに山野さんは、一般社団法人「熱意ある地方創生ベンチャー連合」の共同代表理事も勤めており、ベンチャー企業と自治体が一緒になって地方創生の課題に取り組む機運を高める活動にも取り組まれています。
地方に行けば行くほど情報が入らず、ベンチャー企業に対して嫌疑を持っている方々が未だにたくさんいます。ベンチャーと組めばいろいろな取り組みが実現できるのに、それではもったいない。
そこで、サミットを開催して地域の課題解決の事例や新たなアイデアを共有するなど、積極的な情報発信をおこなっています。
ベンチャー企業の経営者に対し、地方創生に興味があればぜひ連合に加入してほしいと話す山野さん。自治体との関わり方を学ぶ場や、自社のソリューションを提案できる機会を得られることが一番のメリットだそうです。
企業としては、今後もっとインバウンドやアウトバウンドにも注力していきたいとのこと。さまざまな遊び体験が国内外で楽しめるようになる未来が楽しみですね。
山野さん、お忙しい中ありがとうございました。