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202001.10

移動が変われば、生活もビジネスも変わる。数十年以内に訪れる、モビリティの未来とは

自動運転やライドシェアなど、移動にまつわる環境が大きく変化しています。そのなかで、「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」という言葉もよく聞かれるようになりました。

しかし、そもそもMaaSとは何かをしっかりと理解できている人は少ないのではないでしょうか。

今後、MaaSによって移動や生活、産業構造はどのように変わるのか。私たちの日常にも大きく影響する移動の未来について、モビリティのデータプラットフォームを運営する株式会社スマートドライブの代表取締役 北川烈さんにお話をうかがいました。

移動に関するデータを集め、最新サービスを開発

―はじめに、スマートドライブのサービス概要をご紹介ください。

―北川
僕らは「モビリティのセンサーデータプラットフォーム」と呼んでいるのですが、当社のデバイスや他社さんのセンサー、車そのものなどから移動に関するデータを集めて解析する事業を行っており、それを基盤にして大きく2つのサービスを展開しています。

1つは、スマートドライブが自社プロダクトとして直接法人や個人のお客様に提供するサービスです。営業や運送の車両をリアルタイムで管理し、事業活動の効率化などを促進する「SmartDrive Fleet」や、ドライバーのエンゲージメントサービスである「SmartDrive Cars」、高齢者の運転を家族がリアルタイムで見守れる「SmartDrive Families」などがあります。

―北川
当社のサービスを利用してくださっている企業は400社以上。車両の管理データが一元化されることで管理が楽になった、無駄な車両を減らしコスト削減ができた、事故が減った、また事故がへると保険料も下がる、さらに、営業効率が2割アップして売上が伸びたといった声が聞かれています。

もう1つは、スマートドライブが集めたデータに加えて、事故情報や、空気圧などの多様なセンサーデータも組み合わせて分析し、さまざまな企業のサービスに役立てるというもの。例えば、運転データから事故リスクを予測し、保険会社の新しい保険サービスに活用したり、三井不動産と共同でスマートシティに関する実証実験に取り組んだりといったことを行っています。

―北川
我々は、自動車以外にも移動に関するデータを複合的に収集、提供しているため、関わってくる業界は非常に幅広い。先の保険や不動産、自動車などのほか、リースや金融系のサービスなど、引き合いはどんどん増えていますね。

MaaSの本来の意味と国内の現状

―移動に関する事業といえば、MaaSという言葉がよく聞かれるようになりました。改めてお聞きしたいのですが、そもそもMaaSとは何を意味しているのでしょうか。

―北川
MaaSの概念がまだ固まっておらず、何がMaaSで、何がMaaSじゃないのかは結構曖昧なので、今後より定義されていく言葉なのではないでしょうか。ただ、これまでは移動するために車を買っていましたが、これからは車を持たなくても移動というサービスを買えるようになる。それが、本来MaaSと呼ばれているものです。

フィンランドの首都ヘルシンキでは、ベンチャー企業のMaaS Globalが「Whim(ウィム)」というサービスを提供しています。これは、電車やバス、タクシー、バイクシェアなどの複数の移動手段から最適なルートを検索でき、予約から決済まで一括で行えるというもので、MaaSの先進事例だそう。

では、日本のMaaSはどこまで進んでいるのでしょうか。

―北川
日本では、まだ実証実験のフェーズを出ていないと感じています。というのも、都心であればタクシーで移動するのが正直いちばん効率が良い。また、複合的な移動手段を組み合わせることに弊害もあって、例えば電車を降りてバイクシェアのサービスをスムーズに使えるかというと、慣れていなければ余計に時間がかかってしまうといったこともあります。

その国の交通事情によってどのようなMaaSが便利かは異なり、日本ではまだ明確な答えが見つかっていないようです。とはいえ、「移動がサービス化していくという大きな流れは変えられない」と、北川さん。移動がサービス化すれば、移動に関わる企業の在り方も大きく変わっていくと言います。

―北川
現在、自動車メーカーや保険会社は一般のお客さんに直接サービスを提供していますが、MaaSが普及して移動がサービス化すれば、自動車メーカーや保険会社は、直接お客さんと相対する機会が少なくなります。タクシーの車がどこのメーカーのものなのか、何の保険に入っているのか分からないのと同じように、これまでBtoCがメインだったサービスがBtoBになっていき、そもそものビジネスモデルが変わっていくというのが、いちばん大きな変化として感じられるのではないでしょうか。

数十年以内に訪れる移動の未来

―ずばり、移動の未来はどのようになっていくと思われますか。

―北川
人は紀元前からずっと、定常的に1日2時間を移動に費やしているそうです。たしかに時代を経て、馬車や車を使って遠くまで行けるようにはなったかもしれませんが、移動にかける時間そのものはあまり変わっていない。ただ、MaaSによって渋滞を避けて効率的に移動できたり、移動している間に別のことができるようになったりすると、移動に費やす時間はどんどん短縮されていくと思っています。

移動そのものには生産的なことが少ないうえに、渋滞や事故など、負の要素が多くあります。そこは、技術を使ってどんどん効率化すべき、と考えているそうです。

―北川
今後は、技術を活用することによって新たな移動をつくることができれば、すごくおもしろい未来が実現するでしょう。

一方で、すべてが効率化された世界がいちばん気持ちいいかというと、僕はそうではないと思います。移動をしている時間に感じるものがあったり、あえて人に会いに行って分かることがあったりするので、そういった新たなセレンディピティを生むことも忘れてはいけません。そのように、今後は技術を活用することによって新たな移動をつくることができれば、すごくおもしろい未来が実現するでしょう。

未来には、移動が効率化されるだけでなく、移動そのものの価値が高まっていくということもあるのかもしれません。そういった意味でも、移動がどう変わっていくのか、非常に楽しみですね。

では、スマートドライブが描く将来像はどのようなものなのでしょうか。

―北川
今お話しした未来は遠い話ではなく、数十年以内に徐々に実現されていくでしょう。僕らスマートドライブは、その未来を支える基盤になっていたいと考えています。

将来的には、収集したデータをもとに自社でサービスを提供することはもちろん、今以上に多岐にわたるサービスの裏側を支えるプラットフォームになることを目指されるとのことです。

スマートドライブには、すでに渋滞予測や事故リスクが高いエリアの分析などができるほどのデータが蓄積されているそう。これらのデータを街づくりと結び付ければ、ゆくゆくはスマートドライブのプラットフォームがインフラとも言える存在になりそうだと感じました。

思い切って踏み出せば、大きな学びが得られる

―最後に、起業を目指す方や起業して間もない方にメッセージをいただけますか。

―北川
事前に考えていて分かることはあまりなく、やってみて分かることの方がはるかに多いということを伝えたいですね。起業当時、僕は、どうチームをつくるか、どんな機能を開発するか、それをどうマーケティングするかといったディテールを全然分かっていませんでした。ただ、やってみたから情報が入るようになり、詳しくなっていったんです。アクションを起こす前に考えすぎてしまうこともあるかもしれませんが、たまにはその考え方を反対にしてみるということも大事なのではと思います。

北川さん自身も、ロジカルに考えると納得できない、費用対効果が合わないと、数年間実行できなかったことを先日やってみたところ、考えていた以上に得られたものは大きかったそうです。

ずっと考え続けて悶々としているのであれば、結果が成功であれ失敗であれ、思い切って踏み出してみることで次につながることがあるのかもしれませんね。

北川さん、お忙しいなかありがとうございました。

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