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201702.06

日本の家事哲学は“美しい”。世界に向けて『家事代行』という新しいインフラを切り開くベアーズ高橋ゆきさんの挑戦

知っていましたか?

共働きの世帯が増えている……というのは周知の事実ですが、いまや専業主婦(主夫)の世帯の数より、共働きの世帯の数の方がおよそ2倍も多いそうです。

そんな社会の流れに合わせて、ビジネスとして拡大している市場があります。

それは、「家事代行」というサービス。なんと将来的には6,000億市場になると言われています。

株式会社ベアーズは、日本に「家事代行」という言葉もなかったころから、家事代行サービスを牽引してきました。

最近では、日本の家事代行サービスを世界進出させる……なんてチャレンジも行なっているんだそう。今回は、株式会社ベアーズ取締役副社長 高橋ゆきさんに会社立ち上げの経緯や、これからの夢などを伺ってきました。

産業として、そして社会問題の解決策としての家事代行サービス

―どのような経緯でこの会社を作られたのでしょうか?

―高橋
私は1995年、香港で勤務していた頃に、一人のフィリピン人メイドと出逢いました。その名はスーザン。彼女は私より5歳年上、当時5歳の男の子を母国にいる旦那様に預けてメイド業として香港で活躍する笑顔のステキな女性でした。

彼女に我が家の暮らしをサポートしてもらったことで、心に余裕が生まれ、働きながら“明るく、楽しく、幸せな”子育てをすることができたんです。この私自身の原体験から「日本という国に”産業としての家事代行サービス”が必要!なんとしても確立したい」という想いが生まれました。

高橋さんは香港から帰国後の1999年に、夫である高橋健志さんと株式会社ベアーズを起業。現在は取締役副社長としてマーケティングや広報、人材教育を担当されています。


ベアーズでは一人ひとりのライフスタイルや事情に合わせて、様々なサービスを用意している

今、日本では

  • 出生率1.8
  • 女性の労働率M字カーブ問題
  • 企業における女性の幹部育成

などの問題を抱えています。

家事代行サービスは上記の問題を解決できるかもしれないサービスなんだそう。

お子さんが独立され、子育てが一段落した方に家事代行を行なっていただく。そうすることでこれまでのお母さん業、主婦業といった仕事のキャリアを活かせる形で女性の「新しい雇用の創造」を促すことができますし、一方で仕事をバリバリこなしたいけれど、家のことも気になる……という若い世代に仕事に集中できる環境を後押しすることにもつながります。そして女性が働きやすい環境を作ることで、出生率にもいい影響は出る。

こう考えると、産業としてだけでなく、社会的な意義から考えても大きな可能性を持っているサービスだということが理解できます。

日本に来て働く外国人にも働き甲斐を

―国としても女性の活躍推進の一環として、取り組みを推進されているそうですね

―高橋
今日ではこの日本という国は、家事代行サービス(家事支援サービス)における海外人材の受入が国家戦略特別区域法として認められました。これからたくさんの海外の方にも家事代行サービスを支えていただく時代がすぐそこまで来ていることは感無量です。

国家戦略特別区域とは

日本経済再生本部からの提案を受け、第2次安倍内閣が成長戦略の柱の一つとして掲げた、地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区のこと

日本でも海外でも、共通してある「家事」という仕事。海外から日本に訪れた方の仕事の受入先としても、魅力的な市場になりそうです。

いまはフィリピンから数名受け入れの準備を行なっているそう。ただ、特区構想の成功に向けてのチャレンジはまだまだこれから。それは、“利用者にとって利用しやすい、そして日本に来て働く外国人にとって働き甲斐につながる” そんな環境にきちんとアジャストしていくことにあるんだそうです。


海外人材の研修風景
―高橋
国民の暮らし方を変えていく必要があると感じ、日本という国が民間企業と一体となってさまざまなことを行動に移してくれたことは“日本国としての画期的な進化であり、大きな意識革命につながる素晴らしいもの”だと私は思います。

“日本の国の暮らし方が変わろうとしている!”これからもあきらめない心で家事代行サービスが『日本の暮らしの新しいインフラ』になるべく、無い道を丁寧に、かつ情熱的に切り拓いていきたいと思います。

自分じゃなきゃいけないこと以外はアウトソーシング。「新しい暮らし方の提案」


ベアーズでは掃除全般・料理・洗濯・買い物などをドン!とお任せできるプランも用意されている

―「働き方」という意味でもそうですが、「暮らし方」という観点でも大きなインパクトがありそうです。

―高橋
自分じゃなきゃいけないことに自分の全力を注ぐ、それ以外の家のことをアウトソーシングする生き方を私は「新しい暮らし方の提案」と考えています。一度きりの大切な人生、愛する人にいつもとびきりの笑顔を見せられるよう、「自分らしさ」や「心のゆとり」を持って過ごして欲しいと思っています。

共働きが増えているなかで、家事に対する考え方も大きく変わってきています。ただその一方で「家事は女性がやるもの」という古い考えが残ってしまっているのも事実。そういった暗黙のプレッシャーに負け、家事の負担が大きくなってしまい、精神的なバランスを崩してしまう女性の方も少なくないんだとか。

毎日の暮らしを何かに我慢して、何かを諦めて過ごすのではなく、家事に育児に介護に、仕事に、プライベートに、どの自分もまるごと愛して欲しい。ベアーズはチーム一丸となって、そんな女性の“愛する心”を応援したいと考えているんだそうです。

日本の家事哲学は美しい

―今後の展開としてはどのようなことを考えていますか?

―高橋
近い将来、日本の「家事哲学」が海外へ進出していくと思います。日本の家事は美しいものです。家事は、人生の生き様を表したり、家事を通して所作が磨かれていくと思います。

今後は、日本の家事の美しさ、心、哲学を搭載した「ベアーズレディ」という日本の家事代行のしくみやシステムがマッチするかを判断しながら、海外でもサービスを誕生させていきたいです。

世界共通で家事が仕事になる時代! といっても文化的な違いは大きくあるようで、その中でも日本の家事哲学は特に美しい、と高橋さんはおっしゃっていました。

日本のサービス品質の高さは、世界でも優位にあると言われています。礼儀正しさや立ち振る舞いなど、おもてなしの心も誇れる文化があります。実際に、海外でも日本の文化は尊敬と威厳を持って受け入れられるようになってきています。

日本の家事のノウハウが、世界に進出していく日も近いのかもしれません。

高橋さん、お忙しいところありがとうございました。

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