ダイバーシティ、近年ホットな話題ですよね。多様な人材を職場に受け入れることで、組織をより柔軟にする。ともすれば画一的な組織になりがちな日本社会において、とても重要な考え方です。
しかし、ダイバーシティには、社内の協力体制が必要なのも事実。ビジョンはしっかり協力体制を構築し、女性の育休取得率100%、障がい者雇用も国の定める基準をクリアと、実績を残しています。その秘密について、ビジョンの人事総務部統轄、四方氏にお話を伺ってきました。
制度普及のために必要なのはトップの理解
―ビジョンでは、女性の育休取得率100%、障がい者雇用も国の定める基準をクリアと、すばらしい実績を残されていますが、何か特別なことをしているのですか?
実は、特別なことは何もしていないんです。もともとは、そういった制度の認知が全然なく、私も2010年に人事部に移動してから知ったくらいでして……。これはみんなに認知させないといけない、ということで、代表の佐野に告知してもらったり、社内SNSで積極的に告知し、認知を広げました。
従来では、現場が経営陣に理解してもらうのに苦労した、といった話はよく聞きますが、トップダウンで制度を普及させているのはすばらしいですね。
そうですね。トップの理解があるのは大きかったと思います。結果的に、今は育休取得率100%という数字が示すとおり、みなさんに制度を活かしていただいています。もともと、ビジョン起業時、代表の佐野以外の従業員が全て外国人だった時期があり、ダイバーシティ推進に理解があったのも大きいですね。
制度をつくるためにROIを調査し、制度策定によりどれくらいの効果があるのかを経営陣に説明するのは、ただでさえ疲弊している現場にはきびしいもの。トップが理解があるのは、制度普及において大きな要素ですね。
2018年4月1日から法改正。障がい者雇用の現状
―2018年4月1日より、障がい者の法定雇用率が引き上げになりますが、何か対策はされているのでしょうか?
そもそも、ビジョンではすでに2.8%、障がい者の方を雇用しています。これは法定雇用率引き上げ後の数値2.2%をすでに超えていますので、特に何らかのことをするつもりは現時点ではありません。
2018年4月1日から、民間企業は、障がい者の2.2%の法定雇用率を保つことが義務化されました。ビジョンでは、すでに全社員約570名のうち13名、16ポイントにあたる人数をすでに雇用しているんだとか。一般社員と同じように働いてもらっているのでしょうか?
ビジョン本社や、成田空港の出荷センターなどの場所で働いていただいています。障がい者雇用の目的は、税金による福祉サービスの受け手から、納税者の側に立てるよう支援することだと思っています。障がい者の方々が自立できる環境を整え、適材適所を進めているかたちですね。
障がい者の中でも、一般社員と同じように働ける方も、そうでない方もいらっしゃいます。ビジョンでは多様な方が多様な働き方をできる環境があるようですね。
「制度化」ではなく、自然な変化を。ビジョンのダイバーシティのこれから
―改めて、今後ダイバーシティ関連で取り組まれたいことはありますか?
まずは、退職されたシニア世代にご活躍いただきたいと思っています。まだ定年退職者がゼロなくらい、ビジョンは若い会社なので、これまでの人生で蓄積した経験を存分に若者に教えていただきたいですね。
ビジョンの平均年齢は32.1歳と、世間一般からすればとても若い会社です。世代間のダイバーシティも、世代間ギャップを埋めるという意味で重要かもしれないですね。ほかにも取り組まれたいことってありますか?
女性の管理職も増やしていきたいです。しかし、特定の枠を作り制度化することはしません。それでは本人も真に満足しないでしょうし、周囲からの不満もたまります。それよりも、より多様な働き方を受け入れて、さまざまな属性の人が管理職になれるような仕組みを、これから作っていきたいですね。
特定の枠を作って「制度」にしてしまうと、本人も周囲も満足しないと四方氏。言われてみれば、制度のおかげでポジションについても、本人も自分の力で勝ち取った感覚もなくなるし、周囲から見ても、実力ではなく、枠があるおかげで昇進したと思われてしまいそう。それでは健全ではないですよね。
ダイバーシティ推進には、制度は最低限におさえ、よりオーガニックな変化をしていけるような文化づくりが重要と学べました。四方さん、お忙しい中ありがとうございました。