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201810.15

スマホ中毒対策「デジタルウェルビーイング」って?GoogleやAppleの最新動向をチェック

ビジネスパーソンにとっても身近な問題であるスマホ中毒。「用もないのにアプリを開いてしまう」「寝る前についスマホをいじって夜更かししてしまう」という人も少なくないでしょう。

そんな社会問題にもなっているスマホ中毒への対策として、IT系主要企業が重視し始めたのが、「デジタルウェルビーイング」です。デジタルウェルビーイングが注目されるようになった背景や、デジタルウェルビーイングに関する主要企業の取り組みを見ていきましょう。

Googleが提唱するデジタルウェルビーイングの重要性


「デジタルウェルビーイング」という言葉が注目を集めたのは、2018年5月に開催されたイベント「2018 Google I/O」がきっかけ。同イベントでの発表で、製品管理バイスプレジデントのサミール・サマット氏は、ユーザーのデジタルウェルビーイングをサポートすることの重要性について述べました。

Googleの調べによると、70%以上の人たちが、「テクノロジーと実生活のバランスを改善したい」と考えていると言います。そこでGoogleは、Androidにユーザーのデジタルウェルビーイングをサポートする機能を搭載する方針を打ち立てました。

さらに、その約1ヶ月後、AppleもWWDC(世界開発者会議)でスマホ中毒対策について発表。最新OSに搭載予定の具体的な機能が紹介されました。デジタルウェルビーイング対策がIT業界共通の課題となっていることが印象付けられた出来事です。

ウェルビーイング(well-being)は、「健康で安心なこと、満足できる生活状態」を表す英語です。つまり、デジタルウェルビーイングとは、デジタルデバイスによる心身の不調からユーザーを解放し、むしろデジタルデバイスを使うことでユーザーが心も体も健康で幸せな状態になれるようにすることだと定義できるでしょう。

デジタルデバイスによる心身の不調と言えば、冒頭でも述べた「スマホ中毒」です。特に子どものスマホ中毒が問題視されていますが、大人の問題も深刻になっています。
イリノイ州立大学で行われた研究によると、48%の親が、1日3回以上、家族との時間にデジタルデバイスを使ってしまうことで、有意義に過ごせなくなっていることがわかっています。
休日に子どもの前でスマホをいじって、思わず仕事のメールをチェックしてしまうビジネスパーソンは、耳が痛いかもしれませんね。子どものスマホ中毒は、親の指導や管理によって改善も可能ですが、誰も注意してくれない親のスマホ中毒は、より改善が難しそうです。

デジタルウェルビーイングを促進するスマホの機能やITサービスは、そんな大人のスマホ中毒の改善に効果が期待できます。スマホ自身がスマホの使用を制限してくれれば、なんとか離れることもできそうですよね。

“スマホ企業”のGoogleやAppleがデジタルウェルビーイングを重視する理由とは?


ユーザーの心身の健康上重要とは言え、「ユーザーがスマホを使えば使うほどもうかる」ようなビジネスを展開しているGoogleやAppleがデジタルウェルビーイングを推進しているのは、不思議に思うところもありますよね。

このことについて、「Wall Street Journal」の寄稿者として知られるNir Eyal氏は、「デジタルウェルビーイングを推進することで、GoogleやAppleといった企業はむしろ、長期的に利益を得られる」と分析。
その理由は、消費者は一般的に、自分たちにとって有害な商品は使う頻度を減らすか、あるいはより安全な代替商品を使うようになるからです。
つまり逆を言えば、商品を安全なものにすれば、ユーザーが商品から離れずに済み、損失を防げるということになります。同氏は、アメリカの自動車メーカーが自主的にシートベルトを導入し、安全性を高めたことにより、売上を増やした例を挙げながら、スマホについても同様だと説明しています。

デジタルウェルビーイングは、今後IT系企業がビジネスを持続的に発展させていくためにも、重要な要素になっているんですね。

GoogleとAppleのデジタルウェルビーイング機能一覧


では実際に、デジタルウェルビーイングを促進するスマホの機能にはどのようなものがあるのでしょうか。スマホ市場をけん引する二大企業、GoogleとAppleの取り組みを見ていきましょう。

Google「Android 9 Pie」

「2018 Google I/O」で発表された最新バージョンのOSであるAndroid 9 Pie(イベント時にはAndroid Pとして発表)には、以下のデジタルウェルビーイング機能が追加される予定となっています。

・Dashboard
アプリを使用した時間やスマホのアンロック回数、通知の受信回数とそれらの時間帯を表示する機能で、スマホの使用習慣を見直すことが可能です。

・App timer
ユーザーがアプリごとに使用制限時間を設定できる機能です。時間になったら通知が表示され、アプリのアイコンがグレーアウト。これ以上アプリを使用しないようリマインドします。

・Do Not Disturbモード
従来は電話やメールの受信をサイレントにするだけでしたが、最新バージョンでは、画面上に表示される不要な情報も非表示に。スマホをテーブルに伏せておけば、自動的にこのモードになります。

・Wind Downモード
Googleアシスタントに伝えた就寝予定時刻になると、Do Not Disturbモードに切り替わるとともに、画面がグレースケール表示になる機能です。スマホを手放しやすくするだけでなく、脳に対する刺激をやわらげる効果も期待できます。

Apple「iOS 12」

先述したWWDC では、iOS 12のビルトイン機能として、以下のようなスマホ中毒対策の機能が追加されることが発表されました。

・おやすみモード
就寝中など、設定した時間帯に通知が表示されない機能です。ちなみに起床時にスマホを見ると、「Good Morning」と表示されたシンプルな画面に。通知はタップするまで表示されません。確かに、朝一番にずらっと通知が並んでいるのを見ると、げんなりしてしまいますよね。気の利いた配慮がAppleらしいと言えそうです。

・通知の管理
受け取る通知を管理する機能です。ロック画面で簡単に操作できます。

・Screen Time
ベースとなるのは、スマホの使用に関するレポートです。いつ、どこで、何分、どのアプリをいじったか、何時間に何分の頻度でスマホをいじっているかが一目瞭然になります。
このレポート結果を見ながら、App Limits機能で、アプリの使用時間を制限することが可能です。使用時間が来たら通知され、それ以上使用しようとすると「Time Limit」画面が表示されて、ロックを解除するまで使用できなくなります。さらに、デバイスの電源が切れる時間を調節できるDowntimeオプションで、就寝時間以降、デバイスをいじれないようにすることも可能です。

いずれも、ユーザー自身がスマホの使用習慣に意識的になるよう促しながら、適度な強制性でスマホ中毒を防いでくれそうですよね。Googleはすでに、今後もデジタルウェルビーイング機能を追加することを発表しており、引き続き注目したいところです。

おわりに


GoogleとAppleが相次いで対策を打ち出したデジタルウェルビーイング。2社の取り組みは、今後、他社にも大きな影響を与えそうです。
デジタルウェルビーイングに関するスマホの機能やITサービスが普及することで、私たちスマホユーザーひとりひとりが、スマホの使い方に意識的になり、スマホ中毒を防げるようになるといいですよね。

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