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201811.12

ファインドスターが「性格のいい会社ランキング」2位を獲得できた理由

今年2月、国内最大級の社員クチコミサイト「Vorkers」が、同サイトのクチコミデータから「働きがい」と「多様な働き方」を独自の指標でスコア化し、「性格のいい会社ランキング」を発表しました。

ランキングでは、株式会社ファインドスターが2位を獲得。今回は、同社代表取締役社長の渡邊敦彦さんに、社員が「働きがいがある」と感じられる職場環境をどのように構築しているのか、その秘密についてお聞きしました。

性格のいい会社ランキング2位獲得につながった、社員の家族のような関係性

―この度はおめでとうございます。「働きがい」と「多様な働き方」で高いスコアを獲得した理由について、どうお考えですか。

― 渡邊
ありがとうございます。社員に対して家族のように接しているということが、今回の結果につながったのではないかと思います。それは前社長の内藤が創業時からずっと大事にしてきていたことでもあります。

家族のように接するというのは、家族や恋人のことなど直接仕事に関係ないところでも、社員が困っていたら手を差し伸べる、つまり少し「おせっかいを焼く」ことだといいます。

たとえば、出産を控えた奥さんが不安がっていると話した男性社員に対し、出産前後の数週間は奥さんに付いていてあげられるよう、自宅勤務を許可したこともあったそう。

― 渡邊
自宅勤務も特にルールを作っているわけではないですが、自然とみんなでカバーしていこうという空気がありました。

僕らは「BeSTAR(ビスタ)」という理念を掲げて、会社のベースとなる価値観の統一を図っています。働き方に対してもルールで縛るのではなく、その価値観をもとに柔軟な決定をしていきたいと考えているんです。

仕事以外のところで起きたことであっても、結局は仕事に影響は出てしまいますよね。
それならば、プライベートな部分の負荷であっても、僕らにできることがあればなるべく関与しながら経営していきたいと考えています。

プライベートには踏み込まれたくない、職場の人とはビジネスライクな関係性でいたいという人もいます。
しかし、ファインドスターでは社員同士が家族のような関係性を築けていることが「働きがい」につながっているようです。

「社員は家族」という言葉は、一時期はその悪い面が取り沙汰されたこともありましたが、ファインドスターではいい方向に機能しているようですね。

理念を「明文化」することの重要性

―先ほど、理念の「BeSTAR」が価値観の統一に寄与しているというお話がありましたが、そもそも「BeSTAR」とは何なのでしょうか?

― 渡邊
ファインドスターグループの理念で、「基本的価値観(信頼、開拓者精神、かかわるすべての人の幸せ=win-win)」と「存在意義(新しい価値をもって顧客を創造し、顧客に貢献すること)」の組み合わせの総称です。

ファインドスターグループとして、働くうえで何を大事にするのかという価値観を明文化したものです。

働くうえでの価値観を明文化しようと考えたきっかけは、グループの社員数が60名を超えた2007年ごろに離職率が大きく上昇したことだったそうです。

― 渡邊
辞めた社員に理由をヒアリングすると、「ファインドスファーはベンチャー企業だと思っていたが、思い描いていた企業とは違った」という返事が返ってきたんです。

当時、会社としては成長軌道に乗っている段階だったので、毎月のように新しい人をどんどん採用していました。だからこそ、これまで当然のこととして受け入れていた価値観を受け入れない人たちが出てきて。

ファインドスターとして働く上で何を大事にするのかっていうことをきちんと明文化しておかないといけない、と危機感を覚えました。

辞めてほしくない人が辞めてしまう。その状況に危機感を覚えた経営陣は、会社の価値観を「理念」や「行動指針」として明文化することの必要性を感じたといいます。

― 渡邊
「BeSTAR」が形になるまでには一年ほどかかりました。
経営陣で合宿や会議を重ね、ファインドスターで働くうえで何を大事にするかを全員が挙げていく。それをグルーピングしてまとめ、さらに追加で挙げてはまとめる。これを延々繰り返すことで、少しずつ言葉が研ぎ澄まされていきました。

最初はバラバラだったからこそ、一年という長い時間をかけたことにすごく価値があったと感じています。

最初は、そもそも理念を必要ないと感じていた人もいて、温度差があったそうです。
それでも議論を重ねていく中で徐々に理念の重要性に気づき、最終的には全員が納得できる言葉にまとまったんだとか。

しかし、他社では理念をあまり重視しない企業もいると思います。なぜ、理念として明文化することが重要なのでしょうか?

― 渡邊
会社を作りたての時期は、あうんの呼吸でずっと会社を動かしている状態がありますが、規模の拡大に伴ってどこかであうんの呼吸が通用しなくなります。

弊社では30人を超えた頃から、少しずつそれが崩れ始めていて。離職率が一気に上がったのが60人くらいのとき。
30人のときに本来は作っておけばよかったものの、作らずにに60人まで拡大した矢先、一気に人が辞め始めました。

このような教訓から、あうんの呼吸が通用しなくなるタイミングをきちんと計る必要があると思います。そして、きちんと明文化しておくことがとても大切です。

会社が拡大するにつれ、全員が共通した価値観を持つのは難しくなります。
理念など必要ないという声があっても、徹底的に話し合って全員が納得できる答えを導き出すことが、社内における価値観統一への一歩なのかもしれません。

会話で自然に使われるほどに。「BeSTAR」の社内浸透プロセス

―理念や行動指針は一般社員に浸透させていく必要があります。どのように浸透させていったのですか?

― 渡邊
まず「BeSTAR」の制定に携わった幹部をコアとして社員を数人ずつのチームに分けました。そして20ある行動指針の一つ一つの項目がなぜ大事なのかなどをテーマに、ディスカッションを中心とした研修をおこなったんです。

その後もディスカッションによる研修を続け、ようやく「BeSTAR」が浸透したと感じ始めたのは、2~3年経ったころです。

社員同士の話や打ち合わせの中で、自然に「BeSTAR」の中の言葉が使われるようになり、「BeSTAR」が浸透したことを実感したそうです。

― 渡邊
現在の研修では、数人ずつのチームで半期に90分のディスカッションを計6回、月1回ペースで研修をおこなっています。次の半期はチームとテーマを変え、また90分を計6回・・・・・・と続きます。

ちなみに新入社員には90分×6回の研修を1カ月ほどで行い、まず「BeSTAR」とは何なのかを教えます。その後はほかの社員と同様に半期ごとの研修が続きます。

新入社員は、先輩の振る舞いを見たり顧客から褒められたりすることで、徐々に「BeSTAR」の重要性を理解していきます。
「BeSTAR」は、制定することの意義から徹底的に話し合われて作られているため、社員の誰もが実感をもってその重要性を感じられるものになっているそうです。

「BeSTAR」が会話の中で自然に使われるのは、まさに企業理念として理想の形。理念を決めただけで、浸透までできていない企業が多い中、「性格のいい会社ランキング」2位の理由が垣間見えた気がします。

渡邊社長、お忙しい中ありがとうございました。

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