ビジョン中本のナンバー2論
第2回: 変革期のミッション
人・組織・経営などさまざまなことについて、中本新一の「ナンバー2」目線で語る
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中本 新一
18歳のときに始めた通信サービスのアポインターから通信業界20余年。トップマネージャーとして全国の営業拠点において短期間で実績を出し続けた後、設立直後のビジョンへ参画。高品質・高生産営業体制、CRM、ニッチマーケットにフォーカスなど独自戦略を牽引し、現在の業界トップクラス情報通信ベンチャーに育てあげてきたビジョンのナンバー2。
さて、今回は、私が受けたマネージメントについてお話ししたいと思います。
ウソの様なホントのお話です。
私、今でこそ管理本部長という似合わない肩書きですが、ほんの3年前まではバリバリの営業でした。また、前職で4年間テレマーケティング&セールスをしており、こよなく営業を愛しております。
実は前職を退職したのも、新規事業に異動が決まり、愛する営業部から離れるのがイヤで悩んだ末のことでした。(その後設立間もない当社へ参加しました。)
そんな私に6年前、社長から「これからはリテンションだ。なにか考えろ」と指示が。
リテンションとは既存のお客様との関係を維持するマーケティング活動、とググったら書いてありました。
なんのことやら分かりませんが、私が得意なのはテレマーケティングです。ごく少人数でお客様にアフターコールをしてみました。すると、良いことも悪いこともでるわでるわ。
ザックリ言うと良いことは、ちょうど従業員が増えたからと追加オーダーを結構頂戴出来ること。悪いことは、営業マンが約束を守ってないとか、まぁいろいろでした。
一ヶ月ほどテストして、これはお客様のフォローをしつつ利益が上げられるコールセンターが作れるかもしれない、と感じました。
そんな感じたことを社長に報告すると、なんと佐賀市に300坪超の大きなビルを借りてくれまして、そこでリテンション事業をやりなさいとの指示。2011年春のことで、7月にオープンさせました。
おかげで私、そこから5年間毎週佐賀へ出張してました。
月から水曜日昼までは営業部(東京)、そこから週末までがリテンション(佐賀)です。
成果から申し上げますと、まず営業のクレームはほとんど無くなりました。まぁ、残念ながら存在していたルール違反者に相当叱りましたけど。
次に、感じた通り利益が出せるカスタマーセンターになりました。
今、約80名のメンバーが全お客様のコンシェルジュとして活動してます。
そして2012年2月、当社のもう一つの主力事業であるグローバルWiFi事業がスタートしました。
そうは言っても創業以来電話回線や携帯電話、コピー機などを販売していた事業部のみんなは、当初は、他人事とまでは言いませんがどこか「あっちはあっちでやるんだろう」という雰囲気があったと思います。すいません、私もそんな雰囲気の中にいました。
ところが、サービスを開始してすぐに社長からグローバルWiFiのカスタマーサポートも佐賀でやりなさいと。
この時お願いしました。私は二つの事業の兼務はなんとか出来るのですが、三つ持つと訳が分からなくなるという過去の失敗があります。そこで兼務していた、それこそ創業以来担当してきたテレマーケティングチームを大政奉還させて下さい、と。
一言返事でOKでした。嵌められたのか? 冗談ですよ。
ここから私は数年間この新規事業の立上げが最優先となり、お陰様で随分この事業に詳しくなりました。
お客様からのお問合せ電話を5,000件は取ったと思います。それは詳しくなりますねぇ。
冒頭に申し上げた「ウソの様なホントの話」ちゃんとオチがつきます。
よろしいですか? みなさま。ちょっと整理します。
↓
・結果顧客満足度と収益は上がり、何より社内文化であるお客様重視の行動を更に浸透させる。
・おまけに私は全営業部に牽制が効くようになる。
↓
・すかさず新規事業グローバルWiFiにも巻き込み、再び私の優先順位をコントロール。
ラストミッション(今のところですが)は……
20○○年から、当社は本格的に上場を目指す事になりました。
そこでうちの社長何て言ったと思いますか?
管理本部長として上場プロジェクトを成功させろ、と。
上場準備や審査で私、なーんにも困らなかったです。
だって何聞かれたって答えられるし、何もかも整っていたから。
やはり営業会社の側面もあるので、商材特性や販売品質の質問は沢山受けました。
大丈夫です。佐賀で5年間全商材見てきましたから。
そして主力事業のグローバルWiFiはその5倍位の質問がきました。
全く大丈夫です。立上げ当初から携わり、5,000件電話取りましたから。
手前味噌ですが、全ての回答に魂を込めることができます。
背中に、売上伸ばすだけではなく顧客満足度を向上させるために頑張った、新規事業伸ばすために頑張ってくれたうちの従業員を感じられますので。
お陰様で当社は、2015年に東証マザーズ、翌2016年には東証一部に上場することができました。
いかがでしょうこのストーリー?
もしこれが最初からうちのボスの描いた図であれば……
もちろん偶然もあると思いますが、僕は一生そんな境地に立てそうにもありませんし、また裏方が大好きなので、舞台の袖裏でガッツポーズしている、永遠のナンバー2でありたいと思っています。
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