ビジョン中本のナンバー2論
第7回: 心のキャパシティ
人・組織・経営などさまざまなことについて、中本新一の「ナンバー2」目線で語る
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中本 新一
18歳のときに始めた通信サービスのアポインターから通信業界20余年。トップマネージャーとして全国の営業拠点において短期間で実績を出し続けた後、設立直後のビジョンへ参画。高品質・高生産営業体制、CRM、ニッチマーケットにフォーカスなど独自戦略を牽引し、現在の業界トップクラス情報通信ベンチャーに育てあげてきたビジョンのナンバー2。
少し遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
実家の母が作ってくれる御節は、手前味噌ですが最高です。
お正月は大学一年生の息子と大阪の実家に帰省しました。
高校二年生の娘もいるのですが、正月早々から稽古という猛烈な剣道部所属なので、今回は息子と二人旅。
息子の年齢からすると、もしかしたら最後の二人旅かもしれませんね。
だって嫌でしょう?ハタチ前の若者が父親と旅するなんて。
ま、そういう個人的なノスタルジーは置いといて本題でございます。
さて、7回目の当コラムでございますが、タイトルがタイトルなだけにちょっとネタに困ってきました。と言いますのも、現在進行形なお話になりますとそんなに「だから失敗したのか!」なんて気づきはそんなにありません。むしろ、今の私の立場上(管理本部長です)あったらヤバイと思います。
なので必然的に過去のお話が多くなるのです。
一つ思い出しました。
私とお付き合いが長い方はご存知かと思いますが、私、とってもとってもボクシングが大好きなのです。大丈夫です。ちゃんとお仕事のお話につながります。
どれくらい好きかと言いますとですね・・・・・・
10代の頃は全ての世界チャンピオン(17階級×4団体=68人)の名前を全て諳んじており、30代半ばでも松本出張の際に同行した当社炎の営業本部長、
大田が車中でボクシング専門誌を読んでいる私からそれを取り上げ、何々級の日本チャンピオンは誰ですか?という暇つぶしクイズに全問正解して彼を驚愕させたのもいい旅の思い出です。
何が言いたいかといいますと、本当に本当に大好き「だった」のです。
お話は飛びますが、当社はおかげをもちまして2015年東証マザーズ、2016年には東証一部へ上場致しました。
上場の一年前くらい、そして上場したらしたで新たにIRという機関投資家様とのミーティングが増えまして・・・・・・
大晦日のボクシング中継を見ながら寝てしまう、専門誌を買わなくなる、某ボクサーが凄い記録を打ち立ててもあんまり感動しない、という現象に見舞われました。
1990年代、全ての日本・世界タイトルマッチを録画し、休日にはお気に入りの試合をビール飲みながらうっとりして妻に顰蹙を買い、暇さえあれば後楽園ホールに通い数々の名勝負に涙流した私がですよ。
飽きたのか?違います。
私、どうやら新しいミッションが来ると自動トレードオフ機能が実装されるみたいです。
つまり、何かを得るためには何かを捨てる。
仕事でも、若い頃はこれが全くできませんでした。「この事業は俺がいないと無理だ」というバカでしたので、抱え込んでニッチもサッチも行かなくなるパターンを何べんも繰り返しました。
私、なんとか二つの事業は兼任できます。ちなみに今は経理部長を兼任しています。兼任もよいところがたくさんあると思います。メインの仕事(私の場合は管理本部長ですね)以外にサテライト的な業務をする事で視野が広くなったり、発想が柔軟になる様な気がします。
ちなみに、上場基準(もしかしたら推奨かもしれませんが)にも管理職の兼任は一つだけというルールがあります。理にかなってると思います。私、過去三つ以上の事業を見てことごとく失敗しましたので。
仕事のトレードオフだけではなく、個人の心にもそれは必要なんだな、と最近感じる様になりました。
これをお読みのベンチャー企業のNO.2のみなさま、如何でしょうか?仕事も私事も夢中になれるのは二つくらいだと思います。
もし、たくさんお持ちであれば、これから将来を担う愛すべきスタッフに移譲されてみてはいかがですか?
多分大丈夫です。私の経験上、移譲してくやしいですけど、実績が下がった事業は一つもありませんでしたので。