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201705.22

UberやAirbnb、どのくらい流行ってる?日本と海外のシェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは、ソーシャルメディアを利用し、モノやサービスを交換・共有することによって成り立つ新しい経済の形です。

配車サービスのUberや、宿の提供サービスAirbnbなどが有名ですよね。日本ではまだまだなじみの薄いシェアリングエコノミーですが、世界各国ではどのような動きを見せているのでしょうか。今回は世界のシェアリングエコノミー事情について見ていきましょう。

【アメリカ】国民の44%がシェアリングエコノミーに「親しみを感じている」

UberやAirbnbなど多くのシェアリングエコノミー企業が拠点を持つアメリカでは、どの程度シェアリングエコノミーが浸透しているのでしょうか。

2014年にPwC社がアメリカで行った調査によると、調査対象の44%がシェアリングエコノミーに「親しみを持っている」と回答しています。消費者の意識のなかに、すっかりシェアリングエコノミーが根づいているといえるのかもしれませんね。

またアメリカ国内における就業人口の19%、全人口の9%がシェアリングエコノミーに従事しているんだとか。つまり働く人の約5人に1人がシェアリングエコノミーの仕事をしているという計算です。シェアリングエコノミーが産業のひとつとしてほぼ確立しているといえそうです。

とはいえこんなアメリカでも、シェアリングエコノミーが全面的に受け入れられているわけではないようです。

同調査によると、調査対象の57%は「シェアリングエコノミーに興味をそそられるが、不安も抱いている」と回答、69%が「信頼できる人から紹介されたシェアリングエコノミーでないと信用できない」と回答しています。新しい業態であるだけに、多少の抵抗感も否めないようです。

さらにシェアリングエコノミーに対する規制をめぐる動きも活発です。特にUberをはじめとするライドシェアリングについては、既存のタクシー業者の保護という意味合いだけでなく、利用者の危険性についても議論されています。たとえばライドシェアリングサービスの利用中に万が一事故があった場合、個人用の自動車保険では同乗者に対する保険金が下りない可能性があるとされています。

そのほか、下請け労働者状態になったサービス提供者が、従業員と同程度の手当・給与を得られていない問題についても指摘されているなど、アメリカでも課題は山積みのようです。

シェアリングエコノミーだけでなく、新しい産業に対する規制は、公共の安全という名目で既存権益を擁護するだけのものになってしまうこともあります。アメリカでの事例が世界におけるスタンダードモデルになる可能性は高いため、今後も注意深く見守る必要があるでしょう。

【ヨーロッパ】風当たりの強いシェアリングエコノミー、EUが発展を後押し

Burano village – Venice Italy – architecture background

ヨーロッパについては、Uberに反発する既存タクシー業者のデモやストライキのニュースが頻繁に報道されていますよね。ヨーロッパではシェアリングエコノミーはどのように受け取られているのでしょうか。

ヨーロッパ諸国の政府は、シェアリングエコノミーに対する規制に次々と乗り出しています。

ドイツやフランス、イタリア、ポルトガルでは、営業免許を持たない運転手を派遣する配車サービスの提供が禁止。また民泊についても、ドイツ・ベルリンでは物件スペースの50%以上の貸し出しが原則禁止されるなど、規制が厳しくなっています。こうした規制に対し、パリのUberドライバーたちが抗議のストライキを行ったことも記憶に新しいです。

一方でシェアリングエコノミーの利用者はヨーロッパでも増え続けています。たとえば2014年6月、イギリスにおいてタクシー業者のストライキがアナウンスされて以降、「タクシーが使えないならUberを」との動きもあって、Uberのアプリダウンロード数はイギリス、フランス、オランダ、スペイン、ドイツ、ポルトガルなどで劇的に増加しました。EUによると、域内におけるシェアリングエコノミーの市場規模は、2015年~2016年の1年間で2倍に拡大しており、今後もさらなる需要の伸びが期待できるとのことです。2倍となるとかなりの数字。もはや抑制できなくなってきているのは事実だといえます。

こうした動きのなか、EUは2016年6月、シェアリングエコノミーの成長促進を目的として、加盟国に向け、規制のあり方などを示した文書を公表しました。「シェアリングエコノミーは新たな雇用を生み、EU経済の成長を支える」というのがEUの意見。

過度な規制を控えるとともに、国ごとに制度の足並みをそろえる必要があるとも述べています。現にシェアリングエコノミーはグローバル展開している企業も多いですから、今後、国境を越えたなんらかの基準が必要になることでしょう。

【アジア】滴滴出行が人気の中国、シェアリングエコノミー利用に慎重な日本

アジア諸国におけるシェアリングエコノミー事情はどうでしょうか。

中国では2016年11月以降、相乗り配車サービスが合法化されたことが大きく報道されました。

これにより中国は、全国規模でライドシェアリングを正式に合法化する最大の国になったとされています。中国ではUberだけでなく、Apple出資の配車アプリ「滴滴出行」が台頭。2015年1年間における利用数は14億3,000件にも上り、これはUberの6年間における累計10億件を1年で上回った計算です。

中国におけるライドシェアリングの運転手は、フルタイムで月6,000元~7,000元、多い人は1万元を稼ぐとか。中国の平均月収は約3,000元ですので、その2倍以上稼いでいることになります。ライドシェアリングでチャンスをつかもうとする若者も多いことでしょう。

一方、日本の消費者はシェアリングエコノミーに慎重な傾向が見られます。総務省の調査研究によると、Uberのような配車サービスについて「利用したい」あるいは「利用を検討してもよい」と答えた人は22.9%、Airbnbなどの宿泊サービスについて「利用したい」あるいは「利用を検討してもよい」と答えた人は26.4%と低め。「利用したくない」「あまり利用したくない」の合計は70%以上でした。利用したくない理由は、「事故やトラブル時の対応に不安があるから」が約6割だったとのことです。

ただし、同調査では、利用したくない理由として「企業が責任をもって提供するサービスの方が信頼できるから」を挙げた人は2割程度にとどまっています。

つまり日本でもシェアリングエコノミーが成長する土壌は確実にあるということ。その証拠か、駐車場シェアリングエコノミーサービスakippaや、家事代行仲介サービスAny+Timesも話題になっていますよね。駐車場シェアリングエコノミーサービスを「利用したい」あるいは「利用を検討してもよい」と答えた人は5割を超えたといいます。

今後、シェアリングエコノミーの普及に伴い、日本でもより身近になってくる可能性は高いといえるでしょう。

日本と世界におけるシェアリングエコノミーの今後

日本ではUberの営業禁止や民泊新法など、シェアリングエコノミーについて何かと性悪説的な規制にばかり傾きがちです。しかし世界各国の実例を見ながら、日本でもシェアリングエコノミーを新たな産業として成長させることを検討してもよいのではないでしょうか。

また世界的に事業を展開するシェアリングエコノミー企業も多いことから、グローバルな制度が整備されていくかどうかも、今後注目していきたいところです。誰もが経済的にも環境にもやさしいシェアリングエコノミーサービスを、安全かつ気軽に利用できるようになるといいですよね。

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