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201705.29

世界でワークライフバランスってどんな感じなの? 制度や有給休暇取得率など比較してみた

日本では、もともとは少子化対策として、女性の働き方改善の視点から主張されていた「ワークライフバランス」。

その後、介護との両立や男性の働き方についても注目されるようになりました。そして現在では「ファミリーフレンドリー」だけでなく、「個人が生きがいを感じられる働き方」という形で考え方が変わってきています。

とはいえ、日本では残業がいまだに多く、有給休暇取得率も伸びないのが現状。一方、世界ではワークライフバランスはどうとらえられているのでしょうか。今回は世界のワークライフバランス事情について比較して見ていきましょう。

ワークライフバランス先進国スウェーデン


ワークライフバランスの先進国といわれているのは北欧のスウェーデン。

たとえばスウェーデンでは、裁量労働制により、子どもを幼稚園や保育園に迎えに行くために15時には退社できることが多くなっています。また在宅勤務が認められている会社も増えているんだとか。なお在宅勤務の場合は、貸与したパソコンの起動時間から就業時間を算出するそうです。きちんと企業の制度がきちんと整備されている印象を受けますよね。

実はこうした企業の制度は、すべて国の施策的フォローなしに行われているのがスウェーデンの特徴です。多くの国では、ワークライフバランスを推進するために、企業のインセンティブとなるような国の制度が設けられていますが、スウェーデンにはそれがありません。つまり企業側に補助金などの直接的なメリットがなくても、ワークライフバランスが推進されているということです。この秘密はどこにあるのでしょうか。

スウェーデンなどの北欧諸国は労働組合の力が強く、戦後から長時間労働の排除を徹底してきました。したがって現在でも残業の概念がなく、さらに年5週間もの有給休暇取得が法律で義務づけられています。日本は年20日の有給休暇でも取得は50%程度ですから、大きな違いですよね。日本では労働組合離れが叫ばれていますが、労働組合のあり方を今一度考えてみてもよいのかもしれません。

成果主義が働き方にも影響するアメリカ

個人主義の強そうなイメージのあるアメリカではどうでしょうか。オンとオフもしっかりしていそうですよね。

アメリカの有給休暇取得率は80%程度、基本労働時間は8時間です。ただし1日に10時間や12時間仕事をする人も多いといいます。とはいえ、残業する心理は日本人のそれとは大きく違うようです。

アメリカは「企業のために働く」というよりも「自分個人のために働く」という意識が強いのが特徴です。成果主義が強いため、働いた分だけ認められるのであれば努力は惜しまない、といった考え方が根づいているといえます。したがって早出したり、家に仕事を持ち帰ったりする人も多いんだとか。家族を大切にする気持ちも強いアメリカですから、せめて家で家族と過ごしながら仕事をしようと考えた結果、仕事を持ち帰るという折衷案に落ち着くんでしょうか。

「自分のために仕事をする」という考え方であれば、たとえ残業していても、ワークライフバランスが取れているといえるのかもしれません。ある意味「『ワーク』が『ライフ』のようなもの」という人も、アメリカには多いのかもしれません。

「ファミリーフレンドリー」が強いヨーロッパ

イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国では、「ファミリーフレンドリー」の観点から、フレックス性の高い労働ができることが多くなっています。

たとえばイギリスでは、小さな子どものいる女性社員が、週2日程度在宅勤務ができるようになっている会社も少なくないんだとか。また時短勤務が推奨されることも多いそう。家庭と両立してこそ仕事である、という考え方が強いのがヨーロッパの特徴だといえるでしょう。ヨーロッパの人が家族とバカンスに行くイメージは強いですよね。

ちなみにフレックス労働は、混雑の緩和にも役立っているそうです。たとえばベルギーのブリュッセルなどでは、交通渋滞の緩和のため、ラッシュ時を避けて出勤し、決まった時間働いた後に退社する、という制度を実施している会社も多いんだとか。通勤ラッシュのひどい日本でもぜひ採用してほしいところです。

休みを取るのに罪悪感…協調性を重んじる文化のアジア


これまで見てきた欧米と、日本をはじめとするアジアでは、様子がやや異なります。

韓国や日本は、有給休暇を取るのに罪悪感を覚える人が多くなっています。調査によると、韓国は69%、日本は59%です。また韓国も有給休暇取得率が悪く、53%となっています。また休暇中でも仕事のメールを見てしまう人の割合もアジア諸国が高いのが特徴です。調査によると、韓国23%、日本22%、香港20%という結果が出ていました。皆さんも思い当たる節がありませんか?

これらの理由は、アジアにおいて協調性を重んじる文化が強いことにあるといわれています。たとえばインドでも、グループ単位の仕事の場合など、残業をする文化があるそうです。インドでは権利の主張だけでなく、「協調」が重んじられているといいます。日本と少し似ていますよね。

協調性を重んじる文化は、アジア諸国の長所でもあるでしょう。協調性を大切にしながら、個人のワークライフバランスを保てるような働き方を模索していくべきなのかもしれません。

おわりに

いかがでしたか? ワークライフバランスのとらえ方や制度にも、お国柄が出ているように感じられますよね。近年ではどんどん国境を越えたビジネスが加速しています。ワークライフバランスに対する考え方についても、それぞれのお国柄を大切にしながら、各国で足並みをそろえていけるようになるとよいですよね。

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