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201806.11

自治体ビジネスのプロ LGブレイクスルーが提唱する、民間企業が自治体ビジネスに参入する鍵とは

自治体ビジネスってご存知ですか?

官庁や地方自治体が携わるビジネスであり、近年の「地方創生」ブームも相まって、にわかに注目を集めています。

今回は、官庁・地方自治体業務に参入したい企業向けに営業支援サービスを行っている株式会社LGブレイクスルーの代表 古田智子社長に、自治体ビジネスへの着目やアプローチの仕方について、伺ってきました。

地方に定着する人口を増やすには民間企業の力が必要

―ここ数年、「地方創生」の議論が活発ですが、改めて地方創生の意義とはどういったものなのでしょうか?

―古田
地方創生の目的としては、以下の2つです。

・「住む人を増やす=定住人口の増加」
・「そこに訪れる人を増やす=交流人口の増加」

人口を増やすことによって、地域に雇用が生まれ、雇用が生まれるとそこに住む人が増え、人が増えると税収が増えるし、イベントなどで地域に活気が生まれ、その地域にを知っていもらうとことや、お金を使ってもらう(財源となっていく)という流れですね。

交流人口を増やすことは、イベントを開催するなど、一過性の施策でも可能な気がしますよね。

一方で、定住人口の増加には、その地域のファンになってもらい、かつ「住む」という選択をしてもらう必要があるので、ハードルも高そうなイメージです。

―古田
そうですね。でも、仕事があれば何でもいいわけではないんです。地域に仕事が少ないことや、人が来ないということは、それなりに課題があるはず。

その課題解決に新しい発想が必要だったり、新たなサービスが必要だったり、IT技術が必要だったりするんです。

でも、自治体側はそのようなノウハウがなかったり、地元に課題解決ができる企業がなかったりするので、多くの民間企業にぜひ地域課題の解決に参加してほしい、というのが現状です。

なるほど……。自治体の方々は、地域の困りごとを解決していくために、普段から有効活用をできるアイデアを探しているんですね。

民間とどう違う?自治体ビジネスの進め方

―自治体ビジネスに、民間企業はどうやって参入していったらいいのでしょうか?

―古田

まず、自社の製品やサービスがどのように地域の課題解決に役にたつのかということを考えてください。

自治体には、環境、産業振興、教育、福祉とか市民サービスの領域がいろいろとあり、それぞれの分野毎に、向こう5年間こういうことをやっていきます、という中長期計画を出しています。

中長期計画をみて、自社のサービスが役に立つ仮説ができた段階で「計画書を拝見しました。こいうことをやられようとしていますが、お話と情報共有をさせていただけませんか。」とアポイントをとることができるわけです。

なるほど……。たしかに身近なところに参入のチャンスはありそうですが、そもそも自治体の組織を知っていないといけないですね。

―古田
また、地方創生の「交付金」は、自治体が「こういうことに使いたい」「こういうことに使った結果、こういう効果が出せます」ということを事業計画書にし、国に報告し大事な税金をいただくわけです。

ですが、自治体はそもそもの仕事も抱えていますよね。通常の業務の合間を縫って計画書をつくるということは、私たちが考えるよりはるかに大変なんです。

なので、自治体と前向きに事業の話を進めるとなると、民間企業が「一緒に事業計画書を作りましょう」とお話を進めるのがポイントになってきます。

事業計画を申請し、随時契約を結んでいくことが理想ですが、企画競争ということになり、事業を一緒におこなう会社をコンペで選ぶプロセスを踏まないといけないこともあるんだとか。

また、民間企業の営業とは違って、すぐに当月の売り上げが上がるというものではないとのこと。予算枠をとる手続きや事業スタートのタイミングなどが決まっているので、そのあたりも考えて動く必要があるそうです。

地域の課題を解決することが、ステークホルダーに選ばれる理由に

―参入するために着目すること、どのようなアプローチから始めるかはわかりました。他にも気をつけるべきところはあるのでしょうか?

―古田
そもそも、自治体に営業するということが高いハードルのように感じる方が多いかと思いますが、そんなことはありません。

自治体は、地域のみんなが公平に幸せに暮らしやすい地域となるために、集まったお金をどう使えは効果が出るのかを考えているんです。

一番やってはいけないことは、「私たちはこういう新製品をつくりました、こんな素晴らしいサービスです。どうでしょう!」と話を進めることです。あくまで“地域”の課題解決のために、お金の使い道を考えないといけいません。

売り込み型の営業スタイルでは通用しないんですね。また、ある都市で導入された=自治体に関わるステークホルダーからサービスが認められたと同義なので、ほかの都市でも導入が進みやすいそうです。

―古田
なので、自社サービスだけでなく、課題解決のためのさまざまな情報を持っている企業は重宝されます。

常に地域の課題を解決するために新しいサービスや製品で、どういうことをやれば解決できるのかという情報を欲しがっているので。

大切なのは基本となるビジネス思考を徹底すること

―訪日外国人の受け入れや、東京五輪を控えている近年、地域活性化を加速させていかなければならない現状で、御社のような企業の力がもっと必要になってきますね。

―古田
おかげさまで、大手から中小企業まで多くのお問合せやご相談をいただいています。お話してきた通り、参入を増やして地域を活性化することは勿論ですが、民間企業の参入自体、まだまだ知られていないという現実もあります。

私たちにできることを、もっと効率よくみなさんにお伝えしていかなければと使命感に燃えています。

―自治体ビジネスに参入するためのたくさんの情報を発信する一般社団法人「公民ビジネス活性化協会」をスタートされたそうですね。

―古田
いかに多くの方に、手軽にまず最初の一歩を踏み出していただくということに注力をしています。

自治体の方が困っていることを助けたいこともそうですが、なにより中小企業を対象に戦い方をもっとよくアドバイスしていきたい、と思い立ち上げました。

自分達が考える良いものではなく、お客様が考える良いものを提供できるか、価値は自分たちが決めることではなくお客様が決める。ここはどのビジネスにおいても共通することです。

自治体ビジネスに参入するには、ノウハウよりも、基本となるビジネスの考え方を徹底することなのかもしれません。

まずは自治体に行ってみて自治体ビジネスに興味を持って欲しいと古田さん。
自社のサービスやノウハウを地方創生に活かせるかどうか、地域の課題に着目してみるのもいいかもしれません。

古田さん、本日はお忙しいところありがとうございました。


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