突然ですが、海外出張や旅行にいくとき、事前にwebから情報を集めてからいきますよね?
訪日外国人ももちろん同様に、webから情報を調べるわけで、対外国人向けにコンテンツを作ることもビジネスにおいて重要になってきています。
今回は国内でも有数の外国人観光客向けwebマガジン「MATCHA」の青木社長に、対外国人に物事を伝えるときの極意についてうかがってきました。
東京都出身。明治大学国際日本学部卒。大学在学中に1年間休学をし、世界一周の旅へ。2013年12月株式会社MATCHA を創業。現在、244の国と地域で閲覧され、ユニークユーザー数(UU数)が150万くらいの、外国人観光客向けwebマガジン「MATCHA」を提供している。また、「MATCHA」は日本語を含む10カ国の言語にて配信。
事前にためになる情報を伝えるということがあたりまえだけど、そこが重要なポイント
―MATCHAのメディアとしてのこだわりは、どういったところにあるのでしょうか。
例えば、ある観光施設の案内をする場合、最寄駅から車で15分位のところにあるスポットを、多くのメディアは「最寄駅から結構離れている」ということを伝えない場合があります。
実は駅から歩くよとか、タクシーないととても大変だよとか、タクシーはこの通りで待った方がつかまりやすいよとか。コレって行かなきゃ分からない情報ですよね?
なので、ライターがちゃんと現地にいって、見て体験し、現地の情報をちゃんと伝えてあげるということをしています。
たしかに・・・・・・
親切な情報を提供することで、信頼関係が構築されるということですね。
また、ハウツー的なところも伝えているのは、読者には嬉しいはずですね。
海外の人がその場所に初めて訪れたとしても、言葉の問題などでわからない情報がたくさんありますよね。
なので、なおさらその場所のストーリーだったり、運営している人の思いだったりというのは、なかなか伝わらないと考えています。
先日あった話ですが、御徒町で「水平ノート」を売っている会社さんの記事を配信したんです。
その店主の思いだったりとか、なんでこの商品を作ったのかという部分を取り上げたら、1週間で3万人の方がみてくれたということがあり、実際、その記事をみたという台湾からのお客様が増えたと聞きしました。
これっていうのは、台湾の人がノートを買いに来て、よしあしだけでは伝わらないところですよね。
1回行っただけではわからない裏の部分をしっかり伝えていくとこがメディアの重要な役割だと青木社長。
外国人目線の記事にはこだわったチームづくりにあった
―現在、10カ国の言語対応をされているとのことですが、どういったチームで運用されているのですか。
全ての言語にその国出身の責任者をおいています。その下に翻訳者やライターがいてチームになっています。
なので、ただ翻訳しただけでは終わらないんです。その国の目線をもったうえで、記事を作っているんです。
現在、社員の4割くらいが外国人スタッフだそうです。
その国のことをよく理解しているからこそ出るアイデアだったり、表現が可能なんですね。
業務効率もよさそうです。
日本の文化を分かりやすく伝える方法として、年代を表現することがありますよね。たとえば、「江戸時代」という言葉を、「Edo Era」とは翻訳しないんです。1600年代と翻訳します。
江戸時代って言われても、日本の歴史をしらない外国人は分からないですよね?
なので、それぞれの国の歴史で1600年代に起こったキーワードで表現したほうが、その当時の日本が伝わりやすくなるというわけです。
どのサービスでも当たり前のことではありますが、その国の目線を活かした表現で手間をかけてあげることが、とても大切なんですね。
外国人目線で丁寧に紹介をすることで、ユーザービリティが上がり、メディアのファンになってもらえ、実績に大きく影響されるのだと勉強になります。
訪日外国人客の体験価値の最大化とリピートをゴールとしている
―MATCHAのサイトは何をゴールとして運用しているのでしょうか
MATCHAを通じて「うちの旅館にきてくれた」「うちのお店にきてくれた」という体験を増やしていきたいと思っています。
多くの方に読んでもらう、実際に体験を作っていくことで、双方(提供者とユーざー)満足するようなことをしていきたいですね。
MATCHAを通じて、まだ知られていない日本の魅力を知ってもらいたい。実際にいい体験が生まれ、日本を好きになり、また来たいと思ってもらえるようにしたいと考えています。
あるメーカーさんの依頼で、記事を配信したところ、Facebook上で1.7万いいね・800件のコメントという驚異的な数値を残し、結果売上げも伸びたということもあったそうです。
ただ、MATCHAのみの実績かどうかは測定しにくいところもあるので、正確に把握できるようにするのが今の目標なんだとか。
MATCHAからどの位の人がアクションをしてくれたのか、送客の部分を可視化していくところが現在の課題として構築をされていくそうです。
また、記事だけではなく、写真も投稿したり、ライブ映像を投稿したりと手数を増やしてくことも必要なんだとか。
ライブではなくても撮影した動画を配信することで、動画だからなお共感してもらえることがあったりするそうです。
さいごに
最近では、日本全体がインバウンド集客を意識する時代となってきていることも影響が大きく、地方創生のために自分達の街を活性化したいと多くの自治体から依頼をいただくそうです。
依頼をいただく中で多いのが、ターゲットがはっきりしていなく取り上げる場所も定まっていないことです。
私たちの役割としては、ただ記事を作るだけでなく、まずターゲットや目標数を明確にして、認識をそろえることからスタートします。
このメディアは何を目指していて、何をやりたくて、どういうメディアなのかということろがを明確にすることが大事なんだとのこと。
日本の魅力は、まだまだいろいろなところにたくさんあると青木社長。
日本人にとっては当たり前のことが、外国人には新しい体験となり思い出となります。
伝えたい人にどんな情報を発信していくのか、見方や考え方もふくめとても勉強になりました。
青木社長、お忙しいところありがとうございました。