美容業界で話題のプラセンタの製造販売と、企業の海外進出支援事業。
インドネシアをフィールドに、一見しては結びつかないこの2つの事業を展開しているのがサリカ株式会社です。
そこにはどのような思いがあるのでしょうか。海外進出にかける思いについて、代表取締役の辰野元信さんにお話を伺いました。
日本の高い付加価値を世界に
―簡単に現在の事業内容について教えていただいてもよろしいですか?
おもな事業は2つに分かれます。1つ目はプラセンタ製品の製造・販売です。日本で製造した製品を、インドネシアで販売しています。
プラセンタは現在、美肌やアンチエイジングのためのサプリとして、世界各国で注目を集めています。なかでもサリカ株式会社は、ニュージーランドの大自然で育った羊の胎盤から作られるプラセンタに着目。独自の付加価値を生み出しています。
2つ目は海外進出支援事業です。マーケティングリサーチから会社設立代行、現地サポートなど幅広く支援を実施しています。
海外進出支援事業では、通常7か月はかかる法人設立を、なんとたった2か月という短期間で行えるとか。美容関係業界をはじめとし、飲食やIT関連会社、精密機械部品メーカー、衛生管理会社など、さまざまな顧客のサポートを行っているそうです。
海外進出したい……! なんて企業はたくさんありそうですが、何からやっていいかも全然わからないですよね。そこでこういう企業がいるのは非常にありがたいです。
日本には素晴らしい技術、サービス、会社がありますが、販路がないため海外に進出できていない企業が多いのも事実。
我々はまずその国で自社の高い付加価値の製品をもって販路を開き、そこに自社・他社問わず日本のよいモノを流通させていきたいと考えています。
日本の高い付加価値を世界に届け、それにより多くの人々を幸せにすることを目的としています。
売るものはあっても、販路がないと何もできないですもんね……。そしてビジョンが大きい!
もっともっと日本を元気に! というのをイチ企業から取り組んでいる姿勢は学ぶことばっかりです。
インドネシアにおけるネットワークが強み
―壮大なビジョンですね・・・! もう少し詳しく海外進出事業について教えていただけますか? 強みなど。
ありがとうございます。もちろんです。
法人設立のスピードはもちろん、業務コンサルティングができるのが弊社の強みですね。インドネシアにおいて、いかに低コストで採用を行ったり、固定費を下げて業務を回したりするかといったことについてサポート可能です。
また展示会のフルサポート、ディストリビューター候補のフォローのほか、条件交渉や許認可申請、契約書チェック、ロジスティック手配の代行なども行っています。
これらを可能にするのはインドネシアにおける強いネットワークなんだそう。
美容健康エリアでは、自社が持つクリニックなど600社以上の取引先、1,000社以上のコンタクト先を活用しているそうです。そのため、進出支援後も顧客と協業関係を継続できるんだとか。
やっぱり最終的には人と人との繋がりなんですよね。どれだけの人と企業とつながっているか。それだけでも本当に大きな価値になります。
日本と世界をつなぐこと――課題としての外需獲得
―そもそも、海外で事業をしようと思ったきっかけは何だったんでしょうか。
もともと学生時代にニュージーランドに留学していたり、アメリカのミュージカル団体に入ってアメリカやヨーロッパをツアーして回っていたりしたことがあって。海外の人たちは身近な存在だったんですね。
親友も何人もでき、将来はグローバルな仕事をしたいと思ったのが最初のきっかけですかね。
その淡い思いが強い決心に変わったのは、日本においてバブルがはじけたあとぐらいでした。
経済的にも文化的にもリスペクトされていた日本が、バブルが弾けてみるみる弱体化していくことに強くショックを受けまして……。
今も急激な人口減で、豊かさを維持するには外需を取っていくしか道はない、という環境じゃないですか。まさに自分ができることは日本と世界をつなぐこと、日本のよいサービス、商品をどんどん世界に広めることだと感じ、海外で事業をしようと思いました。
サリカ株式会社を立ち上げる前にも、外資系ITの営業から始まり、イスラエルのハイテク企業のアジア代表、中国ウルムチのショッピングセンターの代表など、海外に関する会社で働いてきた辰野さん。
特にウルムチでショッピングセンターの代表をやっていたときには、数千人の死者が出たともいわれる「ウイグル大騒乱」という事件に直面したそうです。日本では考えられないような逆境を乗り越えることで、ひとつ成長できたと感じているといいます。
「そういった経験をどのタイミングでできるか」ということが、もしかしたら自分の価値観を醸成する上で大事なのかもしれないですよね。
Made in Japanを世界に
―世界からみた日本人の強さ、日本の文化のよさは何だと思いますか?
誠実な人が多い、チームプレーにすぐれている、など、よくいわれていることはそのとおりだと思います。
また細かいところまで神経を行き届かせる習慣は突出していると感じますね。あと、宗教を含めいろいろなものに寛容であるところも魅力だと思います。
逆に日本の弱さという観点では、リスクを極端に嫌うところや、「失敗したらアウト」でチャレンジを褒めない文化は見直すべきだと思いますね。世界の変化から取り残されているもっとも大きな要因だと思います。
「成功例がないものはやらない」という姿勢では永久にフォロワーにしかなれないですよね。
聞いていて耳が痛い……とくに最後の言葉は胸につきささりました。
今後の展開についてはどう考えてらっしゃるのでしょうか?
自社製品で切り開いた販路と、進出支援事業の2段構えで、まずはインドネシアにおいてMade in Japanを広げていきたいと思います。インドネシア1国でも大変ですが、なるべく早く、新たな国にも進出をしていきたいですね。
サリカ株式会社では現在、シンガポールやマレーシアといったインドネシア以外の国にも販路のカバレージを拡大しているとのこと。
世界中に販路が開かれ、日本のよさをどんどん発信できるようになれればいいですよね。
世界で戦う日本人。そんな人々のお話を伺うだけでなんだか誇らしい気持ちになるのは私だけじゃないはず。かなり勇気をもらったインタビューになりました。
辰野さん、このたびはどうもありがとうございました!