海外でインターネットを利用しようとする際、どんな手段を使おうか迷いますよね。それは、訪日外国人の方々も同じようです。
- フリーWi-Fi
- 国際ローミング
- Wi-Fiルータレンタル
- SIMカード
など、多くの通信手段がありますが、訪日外国人は実際、どれを使っているのでしょうか。
今回は、インバウンド向け通信環境の実態について、データを交えながら見ていきましょう。
訪日外国人数は伸び続けている!
訪日外国人数は、年々伸び続けています。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、東日本大震災のあった2011年には落ち込んだものの、それ以降は前年比30%前後で推移しています。
なかでもアジアからの訪日客が伸びており、2015年にはアジアからの訪日外客数が前年比53.9%増加しました。2015年当時に比べると、最近では「爆買い」ブームは落ち着いたかに見えますが、コト消費がふえていることもあり、アジアからの訪日外国人は今後も増えそうです。
フリーWi-Fiの少なさに不満が
訪日外国人が増える一方、日本国内の受け入れ環境はまだまだ整っていないのが現状です。特に、インターネット環境に対する不満が多いようです。
観光庁が2017年に実施した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、「旅行中困ったこと」について、「無料公衆無線LAN環境」と回答した人は28.7%に上っています。特に、「飲食・小売店」、「城郭・神社仏閣」、「鉄道車内」で利用可能な場所が少ないという意見が見られました。確かに、日本の複雑な鉄道路線を乗りこなすためにも、移動中のインターネット接続は不可欠のように思います。
また、認証や利用登録の必要性など、利用するにあたっての手続きに不満を感じている人も多いようです。アメリカなどでは、メールアドレスの登録やパスワードの入力も不要で、簡単にフリーWi-Fiにつなげられることが一般的ですから、セキュリティを重視するシステムにスポットでの都度の設定に面倒だと思う外国の方も多いのかもしれません。
インバウンド向けWi-Fiルータレンタル事業に注目
そんなフリーWi-Fi環境に不満を持っている人たちが注目しているのが、インバウンド向けWi-Fiルータレンタルサービスです。同じく観光庁が2017年に実施した調査によると、通信手段の利用実態として、実際に利用した通信手段は、無料公衆無線LANが53.8%、次いでモバイルWi-Fiルータが33.8%、国際ローミングが26.2%でした。
フリーWi-Fiには、無料で使えるというメリットがある一方、セキュリティ上の危険性や、「使いたい場所で使えない」という問題が生じるなどのデメリットもあります。そこで、多少料金を支払っても、安心・安全で快適に、いつでもどこでもインターネットを利用できるWi-Fiルータレンタルサービスを利用する人が増えているようです。
格安で通信速度も速く、データ通信量も無制限というインバウンド向けWi-Fiルータレンタルサービスも出てきています。
速度は同程度のサービスが多いようで、あとは機器の受け渡しの利便性や料金面が決め手になりそうですね。
地方自治体と提携したWi-Fiルータレンタル活用事例
Wi-Fiルータレンタルサービスの需要増を受け、最近では、自治体がWi-Fiルータレンタルサービスと提携した事業を行っている例もあります。
たとえば、静岡市は、2015年にビジョンのサービスである「NINJA WiFi」と提携し、訪日外国人客への提供を開始しました。静岡市総合観光案内所で「NINJA WiFi」の申し込み受付、受け渡しを行っています。「NINJA WiFi」を使用すれば、1日1GBまでの高速通信を利用できます。また、静岡市内だけでなく全国で利用でき、帰国時に返却する際は、全国のビジョンが運営している空港カウンターに設置された返却ポストに投函するだけでOK。
機器受け渡しの利便性も高く、静岡を訪れる訪日外国人ならぜひ利用したいサービスですよね。富士山が世界遺産に登録されたこともあり、利用者は今後増えていくのではないでしょうか。このような自治体との連携サービスが、日本全国で広がるといいですよね。
おわりに
今回は、インバウンド向け通信環境の実態について、データや最新事例を交えてご紹介しました。インバウンド向けの通信環境整備というと、どうしてもフリーWi-Fiの整備にばかり目が向きがちですが、安全でどこでも使えるWi-Fiルータレンタルサービスも、今後ますます注目を浴びそうです。海外から訪れた人が日本で快適にインターネットを使えるよう、おもてなしの心で通信環境を整備していきたいものですよね。