みちのく潮風トレイルを歩く 第10回
Walking on Michinoku Coastal Trail
「みちのく潮風トレイル(MCT)」は、2019年に誕生した長距離自然歩道/ロングトレイル。青森県八戸市から福島県相馬市まで東北太平洋沿岸の1,000キロ超に及ぶ、自然と町を繋ぎ「歩いて」旅をするための道です。東北の復興と振興を後押しするため環境省が敷設し、4県28市町村、市民が協働しています。次代への願いが込められたこの道は、どんな風に育っていくのでしょう? 実際に歩いたハイカーの声をお届けします。
今回のハイカー
濱口 哲さん(宮城県名取市在住)
スタート:2021年5月29日 福島県相馬市(南端)
ゴール:2022年10月2日 青森県八戸市(北端)
歩き方:夫婦ふたりで複数回に分けて1年半歩きました。合計65日(テント泊はせず)。
その後:いちハイカーとして、みちのく潮風トレイルに続く「ふくしま浜街道トレイル」にチャレンジ中。また、名取トレイルセンターのグリーンメンバー(ボランティアメンバー)として、地域の清掃活動・植樹活動などに参加しています。
なぜ歩いたか
とあるオンラインイベントで名取トレイルセンターのセンター長のお話を聴き、初めてトレイルや、みちのく潮風トレイルの事を知りました。講演の中で、「いい大人」のセンター長があまりに楽しそうにお話されるので、こんなにも大人を夢中にさせるトレイルとは何なのかと興味を持ち、モノは試しに少しだけ歩いてみようかなと思ったのがきっかけです。
歩いている間に印象に残ったこと
数多くの思い出の中で「分ける/違う」ことへの発見がありました。1,000キロ以上、30近い市町村を歩いて繋ぐと、そこには行政区の様な明確な分け方はなく、その土地で暮らす皆さんの文化、自然・景色は緩やかに、時に海の色は劇的に変わっていくのが印象的でした。
また、食に関しては、港ごとに違う牡蠣やワカメの味があったりと、そのバラエティの豊富さに驚かされました。
ただ唯一同じだったのは、出会った地域の皆さんが本当に優しかったという点です(照れ屋度合いの違いがあれど)。その場面場面を思い出す度に涙が出るほどです。本当にお世話になりました。
歩き終わって何を想う
当初、もし歩き終わったら「ゴールした優越感」みたいなものを感じるのかなと思っていましたが、実際に歩き終わると、今歩いている(みちの途中にいる)ハイカーへの憧れを強く持っている自分がいます。
「今どこを歩いているんですか? えーそんな出会いがあったんですか!」「いーなーその季節の景色見たかったな!」そんな感じです。
私たちは、1年半の間ずっとこのトレイル(東北太平洋沿岸のみち)のことを想って生活していた事もあり、歩き終わった今も生活の一部、故郷のような感覚を持っています。ニュースで歩いた地域が取り上げられるたびに、楽しい内容であれば自分事として嬉しく思い、心配な内容であれば優しい声をかけてくれたおばちゃんは大丈夫だったろうかと想う、そのような日常です。
自分の住んでいる土地が誰かにそんな風に想ってもらえたら良いなと、道に落ちているゴミを拾い、大きなバックパックを持っている旅人に挨拶する。そんな簡単な事を繰り返しながら日々の感謝を忘れずに過ごしていきたいと思っています。
❶海とともにあるロングトレイル(岩手県大槌町)
❷海のアルプスを臨む(岩手県宮古市)
❸まず避難は高い場所へ(岩手県陸前高田市)
❹地域の方とハイカーが繋がるメッセージボード(宮城県石巻市)
❺長く続く道と、どこまでも続く青い空(宮城県岩沼市)
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