202210.11

みちのく潮風トレイルを歩く 第7回

震災復興・支援活動・防減災の備えなどの情報をお届けする季刊フリーペーパー『震災リゲインプレス』の記事をご紹介します。「みちのく潮風トレイル」は、2019年に誕生した東北の長距離自然歩道/ロングトレイル。青森県八戸市から福島県相馬市まで東北太平洋沿岸の1,000キロ超に及ぶ、自然と町を繋ぎ「歩いて」旅をするための道です。東北の復興と振興を後押しするため環境省が敷設し、4県28市町村、市民が協働しています。次代への願いが込められたこの道は、どんな風に育っていくのでしょう? 実際に歩いたハイカーの声をお届けします。

今回のハイカー 辻本清さん(大阪府)
出発地:2021年12月2日 青森県八戸市(北端)
到着地:2022年5月25日 福島県相馬市 (南端)
歩き方:スルーハイクでしたが寒波と雪のため、2021年12月26日に一時中断。再スタートはコロナ禍での自粛と地震被害で東北新幹線が不通になり、2022年4月13日になりました。延べ日数67日(途中で寄り道ルート2日、ゼロデイ5日。テント泊46日、宿11泊、事務所兼休憩所9泊)
その後:再び歩きに行った。


なぜ歩いたか
 北海道一周自転車の旅で私と同じルートに海岸沿いを歩いて旅する台湾の青年、数年後その彼が東北を歩く風景をSNSに投稿していた。なぜ東北なのか少し気になり検索してみ見る。震災後の復興を目的に含む三陸復興国立公園とその地域で暮らす人々の生活圏をも歩き、美しい自然や歴史文化に触れ、そこで暮らす人達と触れ合う中で東北を肌で感じる事ことのでき出来る道だと知る。テント背負って熊野古道や旧街道歩きを楽しんでいた私はなぜか東北を歩きたい衝動にかられる。予備知識も無いまま彼の後を追うように相馬の松川浦から一気にスルーハイクで八戸の蕪島まで歩いてしまった。到達した感動の余韻が遠ざかると共に私の心の中では、余りにも急ぎすぎてゴールだけを目指し、何か大切な物を見落としている様ような気がした。その時もう一度、ここ此処蕪島からじっくりと南下ルートを歩きたいと思った。

歩いて印象に残ったこと
 八戸の蕪島ターミナスを12月にスタートした。海辺を歩いていると寒風にうねる大波、飛んで来る飛沫、海の色さえも恐ろしく感じる。夏場に歩いた風景と全く異なる景色がそこに待っていた。リアスの小さな漁港で御夫婦が流木の片付けをしながら片隅で焚火をされていた。焚火にあたりテント泊の許可頂く。私は浄水器で沢の水があれば浄水器でそれを使う事を話していた。野営の準備をしていると漁師の奥さんがポリタンクに7~8リットルリッターの水を自宅から軽トラでの差し入れ、出発する時に船に戻して置いたら良よいともいとのこと事。ちょっと立ち止まっての他愛も無ない話から、素敵なトレイルエンジェル現れる。みちのくの優しいトレイルエンジェルにリスペクトです。

歩き終わって何を想う
森や海岸、漁港、その地域で生活を営む人達の路地裏までも組み込まれたトレイルルートを歩かせて頂き、感謝しています。歩いて見て聞いて肌で触れ、今では東北を身近に感じる自分に驚いている。実は3年前のスルーハイクでは、震災遺構について恥ずかしながら余りにも無知で、カメラを向ける事ことさえできなかった。今回震災遺構でじっくり考え見学すること事ができ、出来改めて良かったと思う。此この美しい森や海岸を次世代の子供達たちに引き渡すために、私たち達は何をすべきか、みちのく潮風トレイルは思考させる問答の道でもあった。

みちのく潮風トレイル憲章
4県28市町村を貫く「みちのく潮風トレイル」を多様な人々の間で共有するために策定されたこの憲章は、なぜこの道がつくられ、何のために未来に繋いでいこうと願うのか、の思いや理念が記されています。

1. 美しい風景と風土を楽しむ道とします。
2. 地域に暮らす人々とこの地を訪れる人々との間に心の交流が生まれる道とします。
3. 自然の優しさと厳しさを胸に刻む道とします。
4. 震災をいつまでも語り継ぐための記憶の道とします。
5. 豊かな自然・文化を次世代へ受け継ぐ道とします。
6. 歩くことを愛する全ての人々を歓迎し、皆で育てる道とします。

みちのく潮風トレイルを歩こう!
詳しくは▶︎NPO法人みちのくトレイルクラブ 
https://m-tc.org/

 

FOLLOW

Morebizをフォロー

TAG CLOUD

タグクラウド